2023年 11月 の投稿一覧

CPUで音楽生成?CPUに関するトリビア

CPU現代のPCにおける主要なパーツであり、通常のPC以外でもさまざまな使われ方をしています。

まさに人類の叡智が詰め込まれた小さな石ですね。この小さな石ですが、実は結構ユニークな使われ方をしています。

今回はその一部を紹介します。雑学に興味がある方はぜひチェックしてみてください。

CPUによる音楽生成

まず紹介するのは、CPUで音楽を生成したという話。

コンピュータ音楽の歴史は20世紀初頭の電子音楽の実験に遡ります。コンピュータを使用した最初の音楽生成は、1950年代初頭にCSIR Mark 1(後のCSIRAC)というコンピュータで行われたようです。

このコンピュータは、人気のあるメロディを演奏するためにプログラムされ、1951年には「Colonel Bogey March」を公開演奏しました。

デジタルコンピュータを使用した最初の音楽生成の例とされていますが、この時の音楽は録音されていません。

その後、1951年には、イギリスのFerranti Mark 1が「British National Anthem」などの曲を演奏し、BBCによって録音されました。

これがコンピュータによる音楽の最初の録音とされています。1950年代には、Lejaren HillerとLeonard Isaacsonがデジタル音響合成とアルゴリズム作曲の実験を行い、コンピュータ音楽の可能性を広げました。

と、ここまでは通常のデジタル音楽のお話ですが、もっとユニークな話題として「CPU自体を楽器のように使った」というお話があります。

端的に言うと「CPUの負荷を変化させて、発生する電気的ノイズを音楽に変換」したようです。

CPUの負荷を意図的に変化させることで、コンポーネントから発生する電気的ノイズ(または振動)を生み出し、特定のパターンや周波数で生成されたノイズが音楽的な要素を持つように調整されたとのこと。

CPU自体が一種の楽器として機能するようになるわけですが、通常であれば排除されるべきノイズを音楽にしてしまうあたり、人間の果てしない好奇心が表れていますね。

一昔前に「CPUの熱で目玉焼きができるか」という実験がはやり、最近も有名なyoutuberが「CPUで焼肉を作る」といった動画を公開していましたが、ノイズを活用するのはすごいですね。

宇宙におけるCPUの利用

宇宙船や宇宙ステーションでもCPUは使用されています。宇宙で使用されるのは、一般向けのPCよりも高い信頼性と耐久性を備えているCPUです。

宇宙環境の温度変化や放射線への露出が大きいため、最新かつ最高のハイエンドモデルではなく、信頼性が確立されたチップが選ばれるようです。

これらのCPUは通常、米国防総省による100以上のテスト(MIL-STD-883)をクリアしているとのこと。宇宙船では、冗長性のためやタスクの分割のために複数のCPUが使用されることが一般的です。

例えば、NASAのスペースシャトルでは、複数のIntel 8086やRCA 1802(ディスプレイコントローラーとして)が使用され、後にIntel 80386にアップグレードされました。

放射線耐性を高めるため、Silicon-on-Sapphire技術を使用したCPUも宇宙で使用されています。さらに、BAE RAD6000やRAD750などの放射線耐性プロセッサも広く使われており、これらは数十万ドルのコストがかかることもあるようです。

CPUは現代の「賢者の石」か?

ムーアの法則が崩れたあともCPUは順調に進化しており、今後もこれは続いていくでしょう。

GPUとのコンビはまさに無敵に計算能力と言ってよいほどで、さまざまなデータを価値のある「黄金(もちろん比喩ですよ)」に変えていきます。まさに旧約聖書にでてくる「賢者の石」ですね。

ゲーミングPCに使われているCPUは20年前なら考えも及ばなかったほど高性能なもの。最近は高騰傾向にありますが、これだけの技術が個人で簡単に手に入る時代に生まれたのは、幸せなのかもしれませんね。

第10世代Coreシリーズからの現実的なアップグレードパスは?

第10世代Coreシリーズ「Comet Lake-S」が発売されてから早3年半が経過しました。当時はまだまだAMDが強く、なおかつ円安も進んでいなかったので「手ごろ感」があるCPUが多かったですよね。

私も2020年に、第10世代のCore i5 10400を搭載した自作PCを追加しました。現状でも普通に使えているのですが、そろそろアップグレードを検討する時期です。

しかし、異常な円安と急騰する半導体価格のダブルパンチで、以前のように「安くて手ごろなIntel」ではなくなっているのも事実。

そこで、第10世代Coreシリーズからの現実的なアップグレードパスを考えてみます。

3年半で約1.8倍になったCPU価格

第10世代Core i5シリーズは、14nmプロセスでの製造や革新的なブラッシュアップがなかったこと、Ryzenの強い時期とも重なって価格は「弱気」でした。

つまり安かったのです。私の保有するCore i5 10400も、新品で約2万円でした。ところが、現在の同グレードであるCore i5 13400は最安値クラスでも約36000円。

実に1.8倍です。円安のほかにも様々な事情が加味されてこの価格なのですが、たった3年半で1.8倍になったCPU価格を許容できるかと言われると、ちょっと考えちゃいますよね。

そもそもこのクラスのCPUのターゲットは、「ゲームがそこそこ動いて、事務作業やブラウジング、動画視聴がストレスなく出来ればよい」という層。私もそのひとりです。

自然とコスパ重視になりますし、当時のIntelは非常に魅力的な価格を維持していました。性能も巷で言われるほどRyzenに劣るわけでもなく、なんでもそつなくこなして今でもストレスがありません。

こういうイメージを持つ方は意外に多く、「そろそろ4年になるし買い替えるか」と新しいCPUをリサーチしても、価格の高さに腰が引けてしまうわけです。

ということで、第13世代Coreシリーズ以外へのアップグレードパスを考えてみました。

中古で同世代~1世代上へ差し替え

昔からよくある手法ですが、「同じ世代、もしくは一つ新しい世代の上位グレードに変える」というアップグレードパスです。

今回の例でいえば、「Core i7 10700(8コア16スレッド)」や「Core i5 11600(6コア12スレッド)」あたりが候補になります。

ちなみに第10世代Coreシリーズは、同じソケット(LGA1200)の第11世代Coreシリーズまでが互換対象です。

どちらも新品ではそれなりに高いので中古を探ってみましょう。「Core i7 10700」は約27000円、「Core i5 11600」は約21000円で入手できます。

ちなみにこの2つのベンチマークスコアですが、マルチコアではコア数が多いCore i7 10700のほうが15%ほど上、シングルコアでは世代が新しいCore i5 11600のほうが15%ほど優秀です。

価格差を考えると、Core i5 11600が結構有望ですね。中古で良品が手に入りそうなら、Core i5 10400→Core i5 11600は結構魅力的なアップグレードになりそうです。

第12世代Core i5へ移行

もうひとつ、「Core i5 12400F(6コア12スレッド)」へ移行するというパターンもあります。

ちなみにCore i5 12400Fは円安に巻き込まれなかった最後のミドルレンジで、かなりコスパが良いですね。

ベンチマークスコアはCore i5 10400比で30%ほど高速という結果が出ています。(シングル・マルチともに)

中古価格は、22000~23000円というところ。ほぼ同価格の「Core i5 11600」に比べるとベンチマークはシングル・マルチともに5~10%ほど上です。

単体で見るとかなり「買い」なのですが、第10世代からのアップグレードとなるとマザーボードも買い替えが必要となり、この点が大きなマイナス。

第10世代からは第11世代のi5が良いかも?

ということで、あまり面白みのない結論ですが、第10世代Coreシリーズの「i5」クラスまでなら、Core i5 11600はかなり良いアップグレードパスになりえます。

発売から2年が経過し、そろそろ中古市場にも弾が増え始めるころですから、ねらい目かもしれません。CPU載せ替えだけで完了しますし、2万円でできるアップグレードとしては手間・コストともに優秀です。

ぜひ参考にしてみてください。

マザーボードのEPS12Vコネクタは2つとも挿す必要があるのか

ハイエンドなマザーボードには、マザーボードに電力を供給するための8ピン「EPS12Vコネクタ」が2つ搭載されていることがあります。

このコネクタの両方に電源ケーブルを差し込む必要があるのか?という質問を受けました。今回は、EPS12Vコネクタの必要性と電力供給について紹介します。

EPS12Vコネクタは「両方とも挿すべき」

結論から述べると、EPS12Vコネクタは2つとも指すべきです。マザーボードのグレードによって1個or2個の場合があるのですが、1個の場合は悩む人はいませんよね。

しかし2個の場合、両方とも挿さずとも動作自体はOKなことが多いため、悩む人がいるようです。

最近はCPUに純正機能としてブースト機能が付与されており、これを多用する場合に電力が足りなくなる恐れがあります。

IntelのLGA1700を例に挙げると、ATX規格において4ピンのATX12Vなら最大192W、 8ピンなら384Wまで電力供給を可能としています。

つまり、8ピンのEPS12Vが二つなら768Wを供給するわけですね。これに対し、現状で最上位クラスのCore i9 13900KSは、 通常時150W、 Turbo Boost時には253Wを消費するとされています。

数字的には電源ユニット側の出力が足りていれば8ピン1つで十分なのですが、 電源ケーブルやVRMによる損失などを考慮すると余裕をもって2つ挿し込んでおくべきでしょう。

加えて、ミドルクラス以上のマザーボードではブースト時の消費電力目安を、 CPUメーカーの定格消費電力よりも大きく設定していることがあります。

したがって、上位CPUとの組み合わせを視野に入れたハイエンドマザーボードでは、EPS12Vを2基備えている場合が多いというわけです。

ちなみに、650W以下の電源ではEPS12V電源コネクタが一つしかないものが多いので、マザーボードにコネクタが二つある場合に悩む方もいるようです。

この場合は、8ピンコネクタを1つだけ挿せば動作自体は問題ありません。

参考情報1:主な13世代Coreシリーズの消費電力指標

ここで、第13世代Intel製CPUの消費電力を参考のために載せておきます。

型番:通常時(PBP)、 ターボブースト時(MTP)
Core i9-13900KS:150W、253W
Core i9-13900K:125W、253W
Core i9-13900:65W、219W
Core i7-13700K:125W、253W
Core i7-13700:65W、219W
Core i5-13500:65W、154W
Core i3-13100:60W、89W

参考情報2:EPS12Vコネクタのパターン別、最大供給電力

マザーボード上のEPS12Vコネクタは、大体次の4つのパターンのいずれかです。最大供給電力とともに覚えておくと良いでしょう。

・8ピン×1…最大384W
・8ピン×2…最大768W
・8ピン+4ピン…最大576W
・4ピン×1…最大192W

ちなみに現在売られているマザーボードは、大半が「8ピン×1」か「8ピン×2」です。また4ピン×1はほとんど存在していません。単純に電力不足なのでしょうね。

ということで、現実的には2パターンだけを覚えておけば問題ないでしょう。実際には、消費電力300Wを超えるようなCPUはほぼ存在しないと言ってよいので、8ピン×1で動作させても不具合が起こる確率は低そうです。

2万円未満で買えるATX3.0電源

12VHPWRの搭載や耐久性の向上など、大型グラボと高TDPなCPUを使うことに最適な電源、ATX3.0電源。

仕様などについて何度か揉め事がありましたが、徐々に普及しているようですね。すでに大手メーカー各社からATX3.0電源が続々と発売されています。

しかし、ATX3.0電源は非常に高価であり、高額なモデルは8~10万円、ボリュームゾーンは3万円前後。ATX2.0までは1万円で買えるのが当たりまえでしたので、やはり高いです。

そこで今回は、2万円未満で購入可能なATX3.0電源をピックアップしてみました。

2万円未満で購入可能なATX3.0電源

では早速2万円切りのATX3.0電源を見ていきましょう。

Micro-Star International MAG A PCIE5シリーズ

Micro-Star International、つまりMSIからは「MAG」シリーズでATX3.0のコスパモデルが登場しています。

MAG A850GL PCIE5 850W 18,000円前後
MAG A750GL PCIE5 750W 15,000円前後

グレードは80PLUS Goldで黄色い 12VHPWR端子が半挿しを予防する仕様。コネクタの色を目立つ「黄色」で表し挿し込み具合を分かりやすくしています。

根本までしっかり挿すことでトラブルが防止できる12VHPWRだけに半挿し予防はうれしいですね。

12VHPWRの出力は850Wモデルで600W、750Wモデルでは450Wとされているようです。 準ファンレス機能には対応していませんが、 ATX 3.0電源としてはかなり安く抑えられた価格は必見ですね。

自作PC初心者から中級者まで幅広く使えそうです。私も最初に買うならこれかな、とイメージしています。

Corsair Gaming RM1e ATX 3.0シリーズ

CorsairからはおなじみのRMeシリーズからATX3.0の廉価モデルが登場しています。

RM850e ATX 3.0 850W 19,000円前後
RM750e ATX 3.0 750W 16,000円前後

80PLUS Goldの低価格なRMeシリーズの「12VHPWRバンドル版」といえるのが本製品。既存のRMeシリーズでは別売りだった12VH PWRの変換ケーブルをバンドルしたモデルです。

RMシリーズの特徴である80PLUSGold認証、フルプラグイン、準ファンレス機能などはそのままに、価格も抑えています。

ただし上位モデルと異なり、製品保証期間は7年と若干短いですね。こちらも既存シリーズの実績があるので、幅広い層に受けそうです。

FSP Group Hydro GT PRO ATX3.0 (PCle5.0) シリーズ

いぶし銀の製品を世に送り出すFSPからもATX3.0電源がリリースされました。

Hydro GT PRO ATX3.0 PCIe5.0 850W 19000円前後

大出力でも価格を抑えたセミプラグインモデルです。12VHPWR対応の大出力電源は、ほとんどがフルプラグインだけに、セミプラグインは珍しいですね。

ケーブルはフラットタイプで配線しやすく、準ファンレンス機能も搭載しています。1次側に日本メーカー製105°C品コンデンサを採用するなど、 主要部品の品質を高め。

にもかかわらずこの価格なので、こちらもコスパはかなり高めです。

ATX3.0の低価格化はこれから?

ATX3.0電源は高価格モデルが先行していましたが、ここにきて中価格帯も充実してきました。1万円台前半のモデルが充実するのは2024年以降になりそうですが、そろそろ買い時かもしれません。

電源はゲーミングPCの屋台骨だけに、ATX3.0電源は必須になると考えてよいでしょう。今からパーツ更新の予定を立てておきたいですね。