もはやゲーミングPC業界で毎年のように見かけるようになった「IntelとAMDは結局どっちがいいの?」論争。
私が初めて自作PCに触れた2000年代中頃は、AMDが大旋風を巻き起こしていました。しかしその後Intelの一強時代が長く続いていました。
そこから両者が拮抗するようになり、早5年。これほど長く2強が続くのは珍しいです。
そこで今回は、ここ5年間のIntel vs AMDの歴史を簡単に振り返りつつ「結局どっちなのか」という点についてまとめたいと思います。
2019年以降のIntel vs AMDの歴史
ではまず簡単に2019年以降の2社の関係性を整理してみましょう。
1. ZEN2発売でIntelが窮地に立たされる
2019年、AMDはRyzen 3000シリーズ(Zen 2)を発表し、シングルコアとマルチコア性能でIntelを上回りました。これにより、AMDは市場シェアを急速に拡大しました。
2. ZEN3の高価格化で相対的にIntelが安く見える
2020年のRyzen 5000シリーズ(Zen 3)は高価格設定が批判されましたが、その高い性能は市場で注目を集めました。AMDはしばらくトップの座を保ちましたが、高価格が一部の顧客の不満を招きました。
逆にIntelは第10世代と11世代のコスパがよく、低価格帯ではIntelのほうが見直されるという珍しい現象が起こりましたね。全体的にはAMDが強かったように思います。
3. Intelが12400というハイコスパCPUをリリースし、AMDを逆転
2021年にIntelは第12世代Coreプロセッサをリリースし、特にCore i5-12400は高性能と低価格で評価され、再び市場シェアを奪いました。この動きはAMDの競争力を弱めました。
EコアとPコアという性質の異なる2つのコアを搭載してきたのもこの頃。Intelが徐々に巻き返しを図りました。
4. AMDがZEN4を出すもマザー高額&DDR4非対応でAMDが周回遅れ気味に
2022年、AMDはZen 4を発表しましたが、新しいマザーボードの高価格とDDR4メモリ非対応が問題となり、競争力が低下しました。高性能であったものの、消費者の不満を招く結果となりました。
5. AMDがZEN3の5700Xを値下げでミドルレンジで優位に
AMDはZen 3の5700Xの価格を引き下げ、これによりミドルレンジ市場での魅力を強化しました。コストパフォーマンスが非常に良いので、IntelのミドルレンジCPUは肩身が狭くなりましたね。
6. AMDはZEN4でハイエンド出すもIntel13世代に届かず
AMDのZen 4ハイエンドCPUは、2022年にリリースされたIntelの第13世代プロセッサに性能で敗北しました。特にゲーミング性能においてIntelが優勢でした。
7. Intel13~14世代不具合続出とAMDのマザボ価格下落で両者が拮抗気味に
新しい技術を続々と投入したツケなのか、Intelの第13世代および第14世代プロセッサは不具合が多発。
信頼性に問題が生じました。一方で、AMDのマザーボード価格が下落し、再び市場での魅力が増しました。この結果、Intelの市場シェアが再び脅かされました。
現在は価格帯で強みが異なるが?
このように、IntelとAMDは数年ごとに互いに競り合い、技術革新と市場戦略でリードを奪い合ってきました。この競争は消費者にとって有益であり、PC市場全体の進化を促進しています。
しかし私たちが最も気になるのは「同じお金を出すならどっち?」という点。
これについては価格帯による、というのが私の結論です。
現在はミドルレンジ上位~ハイエンド=Intel、それ以下はAMDが正しい選択肢のように思います。
この傾向は昔から続いていましたが、Ryzenの登場でハイエンド=AMDな状態が数年あったために、最近ゲーミングPCに触れた方は意外に感じるかもしれませんね。
技術的な完成度はIntelのほうが上だと思うのですが、AMDはX3Dシリーズなどゲーム特化のCPUで対抗していて、両者には昔ほど大きな差がありません。
ただし、AMDは頻繁に価格が変動するので、コスパの面でIntelをちょいちょい上回ります。2024年もこの方向性が続くでしょうね。
個人的には、30万円以上の構成ならIntelを中心に、20万円未満ならAMDを中心に選ぶイメージで良いのかなと。
2社は激しく競っていて、これは今後も続きそうです。競っている間はどちらを買っても大きな失敗になりませんが、予算に制限がある場合はAMDにも目を向けていきましょう。