2024年 8月 の投稿一覧

ゲーミングPCに「128bit」の時代はくるのか?

PCは8bitから32bit、そして64bitという具合にCPUの進化に伴って成長してきました。しかし、64bitが当たり前になってからもう20年近くが経過しています。

このことから「128bitの時代はそろそろか?」と考える人がいるようです。私もちょっと疑問を感じていたのですが、どうやら128bitの時代はこなそうです。

今回は、PCが128bit化する可能性についてまとめてみたいと思います。

PCの128bitとは「CPUの128bit化」 なぜbit幅が増えた?

まず前提として、PCの128bit化というのはCPU、つまり「論理演算器が扱うビット幅」が128bitになるということです。

CPUが扱うビット幅は現在64bitですが、ほとんどのデータは64bitの範囲で十分な状態です。

ちなみに32bitから64bitに移った時の理由は、「データサイズの上限」でした。

32bitのCPUは4GBまでしかデータを扱えませんが、64bit CPUは16エクサバイト(160億GB)まで扱えます。

最新のゲーミングPCでは、メインメモリを32GBや64GBまで積むことが多いですが、上記の制限にはまだまだ余裕がある状態。というか余裕どころの話ではないですね。使い切れません。

技術の進歩やコンテンツのデータ量が増えることを考えても、数十年先でも枯渇するかどうか不明なくらいなのです。そもそも半導体の集積度の限界が近いので、CPUがそこまで進化できない可能性もあります。

つまり64bitのCPUでもまだまだデータの観点では「余力がある状態」であり、128bit CPUは必要性の薄い存在なのです。

ちなみに同様の理由で、OSも128bit化する可能性は低いです。

CPUの性能向上はもはやbit幅に依存しない

そもそもなぜCPUのビット幅が大きくなってきたかといえば、「それ以外にCPUの演算能力を上げる方法が乏しかったから」です。

CPUで取り扱うデータの量が増えると、それに伴って処理能力があがります。1980年代まではこの方法がとても有効で、90年代に入って64bit化が進んだ後もしばらくはこの状態でした。

しかし2000年代以降は、CPUの演算性能を上げる方法が増えました。

例えば「拡張命令」ですね。SSEやAVXというマルチメディア用途の拡張命令は、128bitや256bitという演算単位が用いられています。

CPU自体のビット幅を増やさなくても、「32bit×4」のように定義する拡張命令を使うことで、内部では64bitの幅に縛られない処理が可能になっているわけです。

次に、マルチコアやマルチスレッドの登場ですね。コアやスレッドをいくつも用意することで、CPUの能力を「倍加」する方法が一般的になったので、そちらの方面での進化が続いています。

少なくとも生きている間は64bitの時代が続きそう

私の個人的な予想ですが、128bitのCPUが登場する時代は、現役世代(10代後半~50代)が生きている間は到来しないと思います。

そもそもメインメモリの容量も1TBに届く日が来るかどうか…という状況ですし。10年くらいでやっと8GBが32GBに増えたくらいのスピードですから。

個人のPCでやれることの範囲が大幅に増えるというのも考えづらいですし。「現状の64bitでも手に余っている状態で、128bitは考えても無駄」くらいのイメージですね。

拡大するゲーム業界!2025年以降のゲーム業界も活況と示唆

eスポーツという言葉が市民権を得てから早10年ほどが経過しました。

ゲーム業界はこの10年で一層拡大し、2025年以降も成長することが確定したようです。今回は、我々ゲーマーにも影響を与えそうな「ゲーム業界の状況」を紹介します。

5年間で50兆円弱まで伸びる?

グローバルなコンサルティングファームであるPwCによれば、ゲーム業界は今後5年間で年間収益が3000億ドル(約47兆5300億円)を超えるとのこと。

これは2019年比で2倍の数字であり、ゲーム業界の高い成長性が伺えます。この他にも、以下のようなトピックが紹介されていました。

・ソーシャルゲームとカジュアルゲームのプラットフォームは今後4年間で富の増加を加速させていく。
・従来型ゲームの業界における占有率は28.6%から21.4%に減少する可能性。
・eスポーツとゲーム内広告の収益は全体の3%未満。
・アジア太平洋地域はビデオゲームとeスポーツにおける最大の収益を地域であり、日本と中国が中心。
・インドネシアとパキスタンが成長の鍵となる国として挙げられている。
・ゲーム内広告がより大きくなり、アプリ内収益は急増すると予測されている。
・Nintendo Switchの後継機が重要な牽引力とされ、新製品や新技術への投資が期待されている。

カジュアルゲームの定義があいまいですが、「短時間で遊べる育成要素ありのゲーム」と考えて良いでしょう。

ソーシャルゲームとカジュアルゲームが今後の成長株とされています。また、eスポーツの収益は思ったほど伸びておらず、日本と中国以外は収益性が悪いようです。

インドネシアやパキスタンが有望な地域と見られているのは、人口に占める若者の割合が多いからでしょうね。

ちなみにインドネシアの人口は約2.8億人で、その4分の1にあたる約6500万人が若者とされています。日本とは市場規模が全く違うので、成長をけん引するのは当然ですね。

日本国内では冷めた意見も

このようにグローバルベースではゲーム業界全体の活況ぶりが伝えられる一方で、日本国内では冷静な意見も見られます。

例えば、以下のようなもの。

・日本国内ではゲームのネタ自体が出し尽くされており、今後の発展は厳しい。
・いわゆる「キャラゲー」しか成長せず、シナリオやシステム重視のゲームから人が離れている(カジュアル化が進んでいる)。
・グラボやスマホが高額化していて、ゲーム自体が安い趣味ではなくなっている。

厳しい意見が多いのですが、一理あります。国内では「ウケるタイトル」がもはや決まっており、なかなか新しいコンテンツが生まれません。

また、そもそも若年層の割合が減っているので成長も見込みにくい。

しかし、現在でも任天堂やカプコンなど気を吐く企業はあり、一直線に衰退することはないでしょう。

個人的な予想ですが、今後10年くらいかけて徐々に縮小しつつも、一定のプレイヤー人口は維持されると考えています。

あとはもう少しeスポーツが盛り上がってくれれば、プロを頂点としたピラミッドが形成されるので盛り上がると思うのですが…。

eスポーツは中途半端な状況が続いているので、国策として盛り上げるくらいの勢いがないとブレイクしなそうですね。

ゲーミングPCに搭載するストレージ容量の平均は?

先日、友人との会話で「PCのストレージって大体どのくらいが平均なんだろう」という流れになりました。

言われてみれば確かにストレージの容量に「目安」はありません。メモリなんかは大体8~32GBが主流ですが、ストレージは本当にバラバラ。

気になったので、ゲーミングPCのストレージ容量の平均を求めてみました。

20人に調査した結果 ストレージの平均容量は?

今回は、友人知人とその知り合いなどからストレージ容量を聞き取り調査しました。サンプル数は20。ちなみに、程度の差はあれど全員ゲーマーです。

かなり少ないですが、一応の目安にはなるかと思います。早速結果をどうぞ。

500GB未満:15%(3人)
500GB~1TB:25%(5人)
1TB~2TB:40%(8人)
2TB~4TB:15%(3人)
4TB以上:5%(1人)
ストレージ平均容量:1.5TB

まず驚いたのが、1TB未満が結構いるという点ですね。特に500GB未満がしっかりいることには驚きましたね。

この3人には個別に話を聞いたのですが、以下のような理由で500GB未満なのだそうです。

・そもそもPC用ゲームにCドライブ以外いらないので
・動画や画像はNASに保存しているから
・なんとなく必要性を感じないのでそのまま

最近のゲームはクライアントファイル自体が巨大なので、500GBだと足りないかと思いきや、なんとかなっているようです。

3人とも複数のゲームを平行するスタイルではないから間に合っているのかもしれません。

また、2TB以上と答えた人全員が、SSDとHDDを併用していました。SSDもだいぶ安くなったとは言え、すべてSSDにするのはまだ先とのこと。容量当たりの単価が安いHDDを好んでいるようです。

ちなみに私は2TBで、SSDとHDDをそれぞれ1TBずつ積んでいます。そろそろHDDをSATA SSDに置き換えようかなとも思いますが、単なるデータ倉庫ならばHDDでも事足りるので迷っていますね。

2TB以上の方に聞いた「主な用途は?」

ついでに、2TB以上のストレージを常用している方に対して「主にストレージを何に使っているか」を質問したところ、下記のような回答でした。

・写真と動画の保管庫
・仕事用(ハイビットレートの動画を保存している)
・ゲームのクライアントファイルを保存している
・使っているうちに何となく足りなくなって継ぎ足した結果

写真や動画を趣味・仕事で保存する方は2TBでも全然足りないようですね。特にハイビットレートの動画を多数保存すると、5TBくらいはあっという間だとか。

私は動画や写真を保存する習慣がないので、これには驚きました。意外だったのは、RAIDを組んでいる方がいないこと。

RAIDを組むとストレージ容量が一気に肥大化するのですが、個人用でそこまで対策する方は少ないようです。

ストレージは必ず予備を買っておこう

SSDは「突然死」がありますので、SSDのみでストレージを構成している方は必ず予備を保管しておきましょう。

また、定期的なバックアップも必須です。半年に1度くらい重要なファイルをバックアップしておけば、あとは何とかなります。

クラウドストレージを契約しても良いですが、私なら安くて大容量のHDDにしますね。クラウドストレージは便利なのですが、ランニングコストが高くて意外と管理が面倒ですから。

ぜひ参考にしてみてください。

PCゲームの必須機能「垂直同期V-SYNC」の基礎知識

ゲームのグラフィック設定では、もはや定番となった「垂直同期(V-SYNC)」機能。実はこのV-SYNCが何をするのか、あまり理解していない方が多いことに気づきました。

今回はV-SYNCについて、ゲーミングPC初心者にもわかりやすく解説します。

V-SYNCとは?その役割を理解しよう

V-SYNCとは「Vertical Synchronous」の略で、日本語では「垂直同期」と呼ばれます。V-SYNCを理解するために、まず画面に映像が表示される仕組みから説明しましょう。

映像を画面に表示する処理は、グラボの中にあるGPUが担当しています。GPUが作り出す映像は、1秒間に多数の静止画を連続して表示したことの結果です。この1秒間に表示される静止画の数を「フレームレート」や「fps」と呼びます。

モニター側も同様に、1秒間に処理できるフレーム数が決まっていて、これを「リフレッシュレート」と呼んでいます。

60Hzのモニターは1秒間に60フレーム(60fps)を表示できるというイメージですね。ところが、60Hzのモニターに60fpsを超える映像を表示しようとすると、「ティアリング」と呼ばれる映像がズレる現象が起こることがあります。

これは、モニターがPCから送られてくるフレーム情報を処理しきれずに、次のフレームと混ざってしまう状態です。

このティアリングを防ぐのがV-SYNCの役割です。V-SYNCは、「GPUのフレームレート」と「モニターのリフレッシュレート」を一致させ、ティアリングの発生を防ぐのです。

V-SYNCのメリット:映像の滑らかさを保つ

ティアリングが気になる場合、V-SYNCをオンにすることで映像のズレが減ります。グラボの性能が高かったり、ゲームタイトルのFPS上限が高かったりするなど、モニターの性能を大幅に上回る場合には有効です。

V-SYNCのデメリット:性能低下のリスク

ただし、PC側から送られてくるフレームレートがモニターのリフレッシュレートよりも下の場合は、問題が生じることもあります。

例えば、もともとフレームレートが低いシーン(負荷の高いシーンなど)でV-SYNCをオンにすると、さらにフレームレートが低くなって「カクつき」が出たりするわけです。

V-SYNCの使い方は?オンとオフ、どちらを選ぶべきか?

V-SYNCをオンにするかオフにするかは、あなたのPC環境とゲームによって変わります。

ただし、基本的には「PC側(GPU)から送られてくるフレームレート>モニターのリフレッシュレート」の場合にのみ効果がある機能です。この場合は、V-SYNCをオンにすると余計な負荷を減らし、映像の滑らかさを保てます。

一方、「PC側(GPU)から送られてくるフレームレート<モニターのリフレッシュレート」の場合、フレームレートがリフレッシュレートを下回っている場合は、V-SYNCをオフにする方が良いでしょう。 基本的にこのケースでは、オフのほうがカクつきが出にくく安定した描画になります。

自分の環境に合った設定を見つけよう

V-SYNCの設定は、グラフィックドライバやゲーム内のオプションから簡単に変更できます。実際にオンとオフの両方を試して、自分のPC環境に最適な設定を見つけてみてください。

V-SYNCを上手に活用して、快適なゲーム体験を楽しみましょう。

ビジネスPCのゲーミングPC化に向いているグラボは?

できるだけ安くゲーミングPCを作る方法として「中古ビジネスPCにグラボを挿す」というものがあります。

実は昔からある方法ですが、今でも「安い・早い・手軽」の3拍子揃っていてとても便利です。

しかし、「ビジネスPCに合うグラボ選び」は結構難しい印象があります。そこで今回は、ビジネスPCのゲーミングPC化にふさわしいグラボを調査してみました。

ビジネスPCのゲーミングPC化によるメリット

まずビジネスPCを活用するメリットを簡単に整理しておきましょう。メリットは以下3点です。

  • スリムで省スペース型が多い
  • 入手性がよく価格も安い
  • ビジネス用途はリース契約が多く、管理が行き届いている

つまり、場所を取らず、安く、外れが少ないのが中古ビジネスPCなのです。特にDELLやHP、富士通あたりは対象にリース切れ品と思われる個体が出回るので、選び放題ですね。

ビジネスPCの選び方

ベースとなる中古のスリム型デスクトップPCを選ぶ際には、搭載OS、CPU、保証期間などを確認しましょう。

また、グラボを搭載するためのx16スロットの有無も必ずチェックしてください。中古PCの型番から検索すれば、多くの場合、拡張スロットの仕様が確認できます。

また、ゲーム用途を考えるなら、4コア以上のCPUを選ぶことが望ましいですね。ストレージは、すくなくともメインドライブはSSDであるものを選択したいです。

OSはWindows10もしくは11が望ましいでしょう。11が搭載されていれば御の字ですが、2024年ならば10でもぎりぎり問題はありません。

さらに中古かつスリム型のビジネスPCでは、最新ゲームが遊べるだけのグラフィック性能が搭載されていません。「Low Profileサイズにのみ対応」していることも多いので、後付けで搭載できるグラボにも限りがあります。

通販や店頭での購入にかかわらず、事前にメーカーの公式サイトで型番を検索するなど、仕様把握にしっかりと時間をかけたいところ。

グラボの候補3選

さて、これらを踏まえたうえで、中古ビジネスPCに適したグラボを選んでいきましょう。個人的なおすすめは以下3つです。

GeForce RTX 3050(6GB)

2024年時点で「補助電源不要」「Low Profile対応」の最高峰のひとつです。

具体的な製品としては、MSIの「GeForce RTX 3050 LP 6G OC」などがありますね。価格は3万円前後。

グラボの中では決して高性能とは言えませんが、内蔵グラフィックと比較すると6~10倍の描画能力があるので、十分にゲーミングPCとしての役目を果たすレベルです。

Intel Arc A380

実はIntel製GPU搭載のグラボにも中古ビジネスPCに適した製品があります。

SPARKLEの「Intel Arc A380 GENIE SA380G-6G」などがその代表例。価格は19000円前後。RTX3050よりだいぶ安いですね。

TDPの小ささ以外はほとんどRTX3050に負けてしまいますが、GTX1660程度の性能は確保しているので、エントリークラスのゲーミングPCとしては合格点です。

GTX1050Ti

もはや「いにしえのグラボ」ですが、安くて入手性も良いですね。性能的にゲーミングPCとしては厳しい面もありますが「とりあえず低画質で遊べれば良い」程度なら使えるかなと。

ただし、古い割にはそれほど安くないので、どうせならArc A380を試してみたいですね。