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空冷CPUクーラーの性能は頭打ち?進化の道はあるのか

私を含め、周囲ではまだまだCPUクーラーは「空冷」が多いのですが、時代の流れ的に空冷はそろそろ難しくなってきていますよね。

CPUの発熱が大きくなり、高負荷時の冷却が微妙になってきているのがその原因。一方、空冷CPUクーラーは10年以上前からほとんど変わっておらず、もはや枯れた技術です。

果たしてこれから空冷CPUクーラーは進化できるのでしょうか。

実は全く進化していない空冷CPUクーラー

私が自作PCに参入し始めた20年近く前から、空冷CPUクーラーはほとんど変わっていません。

この20年での変化といえば「トップフロー型」が下火になって「サイドフロー型」がスタンダードになったくらいですね。しかし、この2つもエアフローの向きを変えているだけで、根本的な仕組みは同じです。

空冷CPUクーラーは、

  • 銅など金属製のベースを使用してCPUから熱を伝導させる
  • ヒートパイプで熱をヒートシンク部分に移動させる
  • ヒートシンクに移動した熱をファンの風で放出し、冷却する

といった仕組みです。さまざまな形状の空冷CPUクーラーがありますが、この基本から大きく外れている製品はありません。

実にシンプルな仕組みなのですが、それだけに完成されており、これ以上の発展が難しいのが実情。せいぜい、ヒートパイプの数やベースの面積を増やしたり、ヒートシンクの加工と大きさを変えるくらいですかね。

高い冷却性能を持った空冷CPUクーラーも、結局はヒートシンクとファンを大型化して性能を上げているにすぎません。つまり進化という点では、もはや頭打ちなんですね。

個人的に妄想する「進化型空冷CPUクーラー」

ここからは完全に私の妄想なのですが、もし今後、空冷CPUクーラーが進化するとしたら次のようなタイプになるのではないでしょうか。

ヒートシンク両面設置型

現在は、マザーボードの片面だけにベースとヒートシンクを設置していますが、これを両面(つまりマザーボードの表裏)に設置することで冷却能力を上げられるかもしれません。

しかし、裏側からしっかり熱伝導するのは難しいので、大掛かりになる割には効果が薄い可能性は高いですね…。CPUの形状が変わってくれれば希望が見えてきます。

大型ヒートスプレッダ化

これはクーラー側ではなくCPU側のお話なのですが、そもそもCPUはヒートスプレッダが小さすぎるため、熱を放出する面積の絶対値が足りていないと思います。

GPUのようにヒートスプレッダの面積を大きくし、それに対応するCPUクーラーが登場すれば、空冷でもまだまだ冷却性能を上げられそうです。しかし高性能化とダイ面積のやりくりに悩むCPUメーカーがこの選択をする可能性は低いですよね。

ベイパーチャンバー方式の採用

すでに一部の空冷CPUクーラーでも採用されていますが、毛細血管上の金属管に水分を充てんし、内部の気化熱で冷却を促進する「ベイパーチャンバー」という技術があります。

ベイパーチャンバーはコストがかかるのか、あまり積極的に採用されていません。しかし、現状のヒートパイプ+熱移動+ファンで冷却という仕組みの限界を突破するポテンシャルを秘めています。

ベイパーチャンバーが取り入れられれば、ヒートパイプ自体で熱を冷やし、さらに残りの熱はファンで移動させるので冷却効率が良くなる可能性が…。

現実的には、この方法が最も空冷CPUクーラーの進化に近い気がしていますね。ただ、ほとんど話題にならないので望み薄なのですが…。

ちなみにベイパーチャンバーはスマホやゲーミングPCの冷却に使われていることからもわかるように「放熱スペースが無い」場合に威力を発揮します。

理論上は空冷CPUクーラーにも適用できるはずなので、もっとベイパーチャンバー方式のCPUクーラーが増えてほしいですね。

「未使用で眠っていた電源」は劣化している?していない?

自作PCやゲーミングPCを長く触っていると、どうしても使わないパーツが出てきます。

私の場合、電源は「暇なとき交換しよう」とセールで購入し、1年単位で押し入れに放置してしまうこともあります。

電源は使用していると劣化しますが、果たして未使用の電源はどうなのでしょうか。

未使用でも電源は劣化する?

まず、結論として、まったく使っていないPC用電源であっても、時間の経過によって劣化が進む可能性があります。

PC用の電源は「電解コンデンサ」の質によって故障率や寿命が変わってきます。この電解コンデンサは、未使用の状態でも劣化していくのだそうです。

日本国内の電解コンデンサ大手「日本ケミコン(Nichicon)」によれば、アルミ電解コンデンサを長期間放置することで、「漏れ電流」が増加する傾向にあるのだとか。

この漏れ電流は、通常の電圧を加えることで被膜ができ、放置前の水準に回復するとのこと。つまり、つかい始めると元に戻るそうなのですが、2年以上放置している場合は適度にエージングを行う必要があるようです。

ちなみにエージングは、直列保護抵抗1KΩを配置し、30~60分間の定格運転で問題ないとのこと。PC用電源ならば普通に電源として1時間ほど使うだけでよさそうですね。

全く使用せずとも1/4の速度で劣化?

さらに三菱シーケンサによれば、「アルミ電解コンデンサは無通電のまま放置すると、常温で通常時の1/4の速度で劣化する」とのこと。

つまり、まったく使用していなくても、普通に使っているときの25%の速度で劣化が進んでしまうわけです。2年放置したら、半年分の劣化が進んだと考えてよさそうですね。

さらに、高温・高湿の場所では劣化が進みやすいそうなので、日当たりのよい部屋の湿気がある押し入れなどは、劣化を促進してしまう可能性があります。押し入れ放置はちょっと考えものですね。

2年に1回はしっかり通電すべき

Nichiconの説明によれば、以下の条件であれば電圧処理(つまり通電させてエージングする)は不要とのこと。

・保存温度5~35℃
・放置期間が2年以内

ちょっと微妙なところですが、冷房・暖房をあまり使わない場所であれば、保存温度の範囲を超えてしまいそうですね。特に低温側。北東北や北海道では暖房がない部屋に放置している電源は要注意かもしれません。

とはいえ、2年に1回はPCに組み付けて1時間程度は運転させてあげれば良いので、それほど負担になるわけではないですね。しかし放置するということは「存在を忘れている」可能性もあるので、常に目に付くところに置くなどの工夫が必要でしょうね。

PC電源の購入は「1年以内に交換」を目安に

私は過去に、購入後3年間まったく使用しなかったPC電源を持っていました。結局その電源は友人にあげたのですが、友人曰く「5年くらいは普通に動いていた」とのこと。

最後はその友人も電源をアップグレードするために廃棄してしまったようなのですが、3年放置した電源でも故障しなかったことになります。

とはいえ、アルミ電解コンデンサの劣化は確実に進んでいくので、やはり「購入後、最長でも1年程度」を目安にしっかり使ってあげたいですね。

特にゲーミングPCは高負荷状態で使用するわけですから、電源に限らず、グラボやマザーボードの電解コンデンサについても劣化を意識していきましょう。

高品質キーキャップ「GMK」の強み

ゲーミングキーボードを使うようになると、段々気になってくるのが「キーキャップ」の質です。

常に触れている部分だけに、キーキャップが劣化するとプレイ品質の低下につながってくるからです。

今回紹介するのはキーキャップ界隈で高い評価を受けている「GMK」です。一体どのような点が評価されているのでしょうか。

キーキャップの老舗「GMK」とは

GMKとはドイツの電子機器製造メーカー「GMK electronic design GmbH」が製造しているキーキャップの総称ですね。

キーボードを自作もしくはカスタムする人の間では、非常に有名なメーカーのひとつ。特にGMKは発色や樹脂の成型精度が高く、キータッチのフィーリングが良くなることで有名です。

GMKは日本であまり見かけませんが、海外の通販サイトなどでは普通に売られているようですね。私は知人から譲ってもらったものを使っていたのですが、確かに普通のキーキャップよりも使いやすかったです。

何より驚いたのが印字が非常に綺麗だということ。おそらく文字の発色が良いからだと思うですが、「キーキャップなんてどれも大差ないだろう」と思っていた私ですら違いが判りました。

以下は、GMKの特徴です。

  • 文字とそれ以外の部分を別々に作る「二色成型キー(ダブルショット)」による美麗な印字
  • キースイッチで有名なCherry社のオリジナル金型を使用している唯一のキーキャップ
  • 滑らかかつしっかりとした打鍵感

GMKのキーキャップはどちらかといえばシンプルなデザインが多いのですが、触ってみるとすぐ特別さに気が付きます。

言葉にするのがちょっと難しいのですが、キースイッチがそれなり(廉価な互換スイッチなど)でも、高級感が出てしまうのがGMKのすごいところ。

個人的には、マット使用のキーキャップが好みでした。知人に触らせてもらったのですが、手になじむ感じで滑りもなく、なおかつ打鍵感もしっかりしていたからです。

GMKキーキャップの弱点

しかし、これだけよくできたキーキャップにも、以下のようにいくつかの弱点があります。

  • 納期がとにかく長い(1~2年)
  • 日本国内での入手難度が高い
  • ABS特有の耐久性の低さ(テカりが出やすい)
  • 高価格

知人曰く「とにかく高くて、そのわりに耐久性は普通」とのこと。海外通販に抵抗がなければ入手はできるでしょうが、今の為替状況から考えるとお得とは言えません。

ざっくりとした相場観ですが、キーキャップ1個あたり1ドル程度なので、日本円で135円くらいします。これが130~140個ですから、18000円~2万円程度は覚悟しなくてはなりません。

念のために言っておくと「キーキャップのみ」の価格です。2万円だせばそこそこのゲーミングキーボードが買えてしまうので、投資に見合ったリターンが得られるかと言われると微妙ですね……。

あと、実際に購入した知人の話では「初期不良の交換に応じてもらえない」とのこと。また、近年は個人向け製品のクオリティが少し落ちているようで、運が悪いとキーの歪みもあるのだとか。

それでもキーボードを突き詰めるならGMK

このように結構なデメリットもあるGMKですが、それでも愛好家は長い納期に負けずに、せっせとGMKのキーキャップを注文するようです。

やはりキーキャップ自体の発色や印字の綺麗さ、独特のタッチフィーリングに惚れこんでしまうのだとか。私はまだ購入したことがありませんが、もしキーボードをカスタムすることがあれば、検討してみたいと思います。

キーキャップ交換は、自分の手に馴染みさえすれば非常に満足度が高いカスタムですので、ぜひチャレンジしてみてください。

「PCのネジが古くて回らない」を解決する方法

PCにはたくさんのネジが使われていますが、結構な確率で「ネジ山」を潰してしまう方がいます。

私も自作PCをはじめて間もないころ、ネジ山をドライバーで舐めて潰してしまい、ネジが回らなくなりました。

またネジが単純に古くなって回らないことも。こうしたネジ関係のトラブルを解決する方法をご紹介します。

ネジの問題を解決する方法

まず、スタンダードな方法ですが以下を試してみてください。

・ドライヤーなどでネジを温めてから回す
・ネジ穴周辺に潤滑剤などをスプレーし、浸透させてから回す
・ネジの頭の部分をドライバーの取ってなどで数回たたいてから回す

これらはPCに限らずDIYの基本的なテクニックです。ネジは古くなってくると固着やサビで動きが悪くなるので、加熱・潤滑・振動などで解決することがあります。

しかし、これらを試しても駄目な場合も多く、正解が決まっていないのがネジのトラブルの難しいところ。

ゴムによる対策も成功するとは限らない

これ以外にも「輪ゴムをネジ山にかぶせて、その上からドライバーで回す」という方法があります。

これはネジ山が減っているときに特に有効ですね。ネジ山が減っていて、ドライバーにうまく密着していないと回転させられません。

そこでゴムを間に挟み、ネジとドライバーの密着度を上げてから回転させるという方法です。ただし、これもネジ山が大きく減っていると失敗することがあります。

特に最近のPCに使われている手で回転させるタイプのネジは、ネジ山にマイナスドライバー用の溝が一本大きく切ってあるだけですよね。

この溝にゴムを埋めてしまうと、ドライバーがうまくはまらず、ゴムだけがグズグズになってしまうことも。実際私も何度か失敗しました。

ネジの問題を解決する2大ツール

ということで、前述の4つの方法よりも効果的な解決方法として、2つのツールを紹介します。

ネジザウルス

ネジを回すために作られた専用のペンチが「ネジザウルス」です。結構有名なツールなのでご存じの方も多いと思います。

ネジザウルスを使うと、ネジの頭をネジザウルスで挟み、そのまま回転させることができます。ネジ山がつぶれたときに物凄く便利です。

しかしネジザウルスには欠点があります。それは「ペンチ本体が邪魔になって、狭い場所や奥まった場所にあるネジが回せない」という点です。

PCは結構狭い場所にネジが使われていたりするので、ネジザウルスで作業するスペースが無いこともあるんですよね。こういう場合は、やはりロングドライバーで何とかしなくてはなりません。

ドライバーを使うなら「スクリューグラブ」

個人的にネジ関連のツールで最強だと思うのが「スクリューグラブ」です。スクリューグラブは液体状のネジ回しで、自動車整備などにも使われています。

使い方は簡単で、ネジ山部分にスクリューグラブを一滴たらし、そのままドライバーで回転させるだけ。

スクリューグラブは摩擦係数を最大化する液体なので、ネジ山とドライバーのズレを解消して力をしっかり伝達してくれます。

緑色で鉄粉が混ざったような液体なのですが、ゴムとは違ってネジ山を埋めてしまわないので、PCに使われている特殊なネジでも対応可能です。

「すべり」をなくしてくれるので、手回し式のネジにも使えますよ。ネジに液体を塗り付け、ペーパーウェスなどで包んで回転させると、ネジが回しやすくなります。(ゴム手袋着用は必須です)

ネジのトラブル回避でパーツ脱着もスムーズに

個人的な経験から言えば、PCのパーツ脱着で最も時間がかかるのがネジ関連の作業です。

PCのネジは、山が潰れやすかったり形状が特殊だったりと、トラブルが起こりやすい印象を持っています。なので、ネジ対策のツールを持っているとかなり安心です。

特にスクリューグラブはホームセンターやAmazonでも800円程度で購入可能ですから、ぜひ活用してみてください。

今後は簡易水冷がスタンダードに?空冷に未来はあるのか

RTX4090が登場し、性能もさることながら「巨大さ」が話題になっています。なんと前世代のハイエンドであったRTX3090比で、体積が1.5倍以上にもなっているからです。

今後、この傾向が続けば、空冷では冷却が追い付かずに簡易水冷が必須になるのかもしれません。果たして空冷は絶滅をまぬがれるのでしょうか。

RTX4090は空冷で冷却できるのか?

2022年10月に発売された「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4090 Trinity OC」のカード寸法を見て驚いた方も多いと思います。

私は性能よりもまず、その大きさに目を奪われました。カード寸法は、356.1mm (L)x 150.1mm(W) x 71.4(H) mmとなっていて、長さ35センチを突破。

ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 Trinityの寸法が約317.8×120.7×58mmであったため、長さは約4センチも増大しています。

体積ベースでいうと、3090比の約1.7倍。この巨大な熱源には3連ファンが装着されているものの、ファンから排出された熱気を空冷で流し続けるのは厳しいと感じます。

そこでピンときたのが簡易水冷の存在。RTX40シリーズからは、本格的に簡易水冷が王道になっていくのかもしれないと感じました。

なぜなら、RTX4090の簡易水冷モデルを見ると、空冷モデルに比べてかなりコンパクトになっているからです。

GIGABYTEから出ているRTX 4090 搭載 簡易水冷グラフィックボード「GV-N4090AORUSX W-24GD」のカード寸法は、238 x 141 x 40 mm。前述の空冷モデルと比較すると…

・RTX4090空冷(3連ファン)…356.1mm (L)x 150.1mm(W) x 71.4(H) mm
・RTX4090簡易水冷…238mm(L) x 141mm(W) x 40 mm(H)

幅以外はかなり数値が小さくなっていますよね。長さは12センチ、高さは3センチも小さくなっています。これならばちょっと大きめのミドルレンジグラボです。

要は、消費電力と発熱の増加によって、空冷グラボに占めるファンの体積が大きくなりすぎているわけですね。また、空冷で排出された熱を処理するためには、PCケースにも相応の冷却能力が求められます。

しかし、この巨大な熱源を冷やすだけの能力が、果たして今のPCケースに備わっているかと言われれば疑問が残ります。

グラボが巨大になるほど存在感を増す簡易水冷

4090に限ったことではないのですが、グラボが巨大になるほど簡易水冷はメリットが大きくなると思います。

まず、グラボ本体の半分以上を占める巨大なファンが無くなることで、スペース的な余剰が生まれますよね。長さが10センチ以上も変われば、PCケースの大きさはミドルタワーからmicro ATXサイズに落とすことができます。

簡易水冷もラジエーターファンの設置場所が必要ですが、これは向きを変えられますし、最近のPCケースはラジエーターファンの設置場所もしっかり確保しています。

逆に空冷を前提に考えると、巨大なグラボを設置するためだけに巨大なPCケースを買わねばなりません。また、前面に大型ファンは2基以上、かつ底面と天板にも15センチファンが欲しいですね。

PCIeスロット部分にまで強力なエアフローを発生させるには、PCケース前面のファンからしっかりと勢いのある風が当てる必要があります。つまり、全体的にかなり騒音が出るでしょうね。

そして何といっても、4スロット占有という非常に非効率な空冷ファンの大きさが頭を悩ませます。4スロット占有となれば、PCIeスロット部分はすべてグラボだけで埋まりますし、ファンとサイドパネルのクリアランスもかなり厳しくなってきますよね。

エアフローはスペースが確保できないと効率が落ちますから、4スロット占有の空冷モデルを冷やすのはますます難しくなります。

個人的な予想ですが、RTX50シリーズや60シリーズが登場するころには、ハイエンドグラボ搭載のゲーミングPCは簡易水冷が前提になるのかもしれません。

また、空冷はミドルレンジ以下専用の冷却システムに落ち着つくのかもしれないですね。