2020年 7月 の投稿一覧

マイクラにリアルタイムレイトレーシングを追加する「Minecraft with RTX」

NVIDIA RTXシリーズは現行でリアルタイムレイトレーシングが使える唯一のグラフィックボードであり、様々なゲームタイトルがリアルタイムレイトレーシングを採用しています。

そして幅広い年齢層を抱え多くの国でプレイされているマインクラフトにもリアルタイムレイトレーシングの波が押し寄せています。そこで今回はマイクラにリアルタイムレイトレーシングを追加する「Minecraft with RTX」についてご紹介します。

2020年内に無償アップデートとして提供される予定

Minecraft with RTXは既存のプレイヤー向けに無償アップデートとして提供される予定で2020年7月現在はベータテスト中です。マインクラフトはJAVA版とMicrosoftストアアプリ版がリリースされていますが、どちらにも対応することが発表されておりこれからマインクラフトを購入する際も安心です。

もちろん動作にはNVIDIA RTXシリーズが必須になるためBTOメーカーやパソコンショップがマインクラフト対応を謳っている構成では不十分になります。

既存の影MODを遙かに超えるクオリティ

JAVA版のマインクラフトにはMODで影を再現することが一般的でしたが、RTXシリーズによるレイトレーシングが有効化されたマインクラフトはこれまでの描画品質とは異なる新たな次元へ突入しています。

光の拡散や水の屈折がリアルに再現されることで質感や材質の違いが明確になり、投入感がさらに増します。見慣れたワールドであっても影MODとレイトレーシングではグラフィックの差が激しく、今までやりこんできたプレイヤーにとっても新しい体験となります。

影MODに最適化されたワールドでは逆効果な場合も

マインクラフトはブロックを積み上げてワールドを作り上げいきますが、影MOD向けに最適化され美しく見えるように作り込まれたワールドはレイトレーシングを有効にするとかえっておかしな世界観になりがちです。

影MODでは環境光や屈折の再現性が低く、水ブロックの下に鮮やかな色のブロックを配置することで見た目を向上させるテクニックなどが一般化しており、ワールドによっては大幅な改造が必要になります。

現実的には低スペックなパソコン向けに影MODを想定したワールドと、レイトレーシングを想定したワールドに分化する可能性が濃厚です。

Minecraft with RTXのベータ版で作成したワールドは互換性がなく正式版へ引き継ぎできない

2020年7月現在もMinecraft with RTXはベータ版が一般テスト中の状態です。ベータ版で製作したワールドは正式版へ引き継ぎできないため、ベータ版を試す前にワールドのバックアップは必須です。

レイトレーシングに対応した自作テクスチャを試す他、デモ公開されたワールドで圧倒的なグラフィックを体験可能です。レイトレーシング完全内容のテクスチャは手間がかかるため正式版がリリースされる前にコツコツと作成を進めておくと良いでしょう。

まとめ

レイトレーシングが有効になったマインクラフトでは配置されたブロックを忠実に描画するため、直感的にワールドを作成出来るようになりました。

鏡など光を全反射する物も完全に再現され、これまでのマインクラフトとは異次元のグラフィックを実現していますが、グラフィックボードの要求水準が一気に引き上げられたことも事実です。

マインクラフト向けに構成していたパソコンではプレイ出来ませんが、NVIDIA RTXシリーズを搭載しているなら2020年内に新たなマインクラフトを体験できるでしょう。

Mozilla VPNのメリット

VPNの需要はリモートワークやFreeWiFiの増加に伴って増え続けており、様々な団体がVPNサービスを提供しています。すでにTrendmicroやSymantecのようなセキュリティ関連企業も参入しており、既存のアンチウイルスソフトウェアやサービスにVPN機能が付属する販売形態も誕生しました。

そのような情勢下でブラウザのFireFoxやメールクライアントのThunderbirdを開発運営しているMozillaも独自のVPN接続サービスを正式リリースしています。そこで今回はMozilla VPNのメリットについてご紹介します。

Firefoxアカウント経由で課金する有償VPNサービス

Mozilla VPNは無償のベータテストを終えて、月額4.99ドルの有償VPNサービスとして正式リリースを迎えました。通信量無制限かつ高速な通信サービスを世界中のあらゆる国・地域で利用できるよう欧米を中心に順次エリアを拡大予定です。2

020年7月時点で日本は非サポートですが将来的には他のアジア諸国と同じくサポートエリアになるものと思われます。

多くのクライアントOSをサポートし5デバイスまで接続可能

VPNサービスは通信プロトコルの仕様やサーバーの処理能力などの問題で対応する機器やOSが限定されることが珍しくありません。実際にTrendmicroのVPNサービスはiOSとAndroidだけに対応し、WindowsやMACはサポートされていません。

その点、Mozilla VPNは主要な全てのOS、デバイスをサポートしており、手持ちの機器を全てVPN接続に切り替えやすいという特徴があります。1契約で5デバイスまで接続可能なので他の有償VPNサービスと比較しても非常に安価です。

主流のIPsecやOpen VPNではなくWireGuardプロトコル採用

多くのデバイスをサポートし、高速な通信を可能にできた要因の1つに現在主流のIPsecやOpen VPNとは異なるWireGuardプロトコルの採用が挙げられます。

WireGuardプロトコルは既存のVPNサービスで使われているプロトコル特有の長い再接続時間、切れやすい接続、セットアップ要件の難しさを克服することを目標に開発された新しいプロトコルであり、Mozilla VPN以外のVPNサービスでも採用実績があります。

さらにソースが肥大化し脆弱性やバグの発見が容易ではない既存のプロトコルよりも少ないコードで書かれているおかげでセキュリティチェックもしやすく、より安全に運用できる点もメリットのひとつです。

Mozillaが運営しているので信頼性も高い

有償のVPNサービスの中には、致命的な脆弱性や漏洩リスク、個人情報をサーバー側で収集して販売されるリスクを抱えているものもあります。

しかし株主がおらず、収益を全てMozillaプロジェクトに還元することを目的にしているMozillaは他の営利企業が行なっているような悪質な運営に走ることは難しく安心できる組織と言えます。セキュリティ面でも安全性を確保しやすいWireGuardプロトコルを採用しており、VPNサービスの中身も安全です。

まとめ

VPNサービスは乱立しつつあり、ユーザーが運営企業やサービスの中身を見極める時代が訪れようとしています。そのような情勢下で高性能でセキュリティ面で信頼しやすいWireGuardを採用したMozilla VPNは最有力候補と言えます。

様々なデバイスを一気にVPN化するならコストパフォーマンスに優れて優秀なMozilla VPNがおすすめです。

May 2020 Updateで起動時のパスワード省略が出来なくなったWindows10と対処法

1年間に2回提供される大型アップデートでは様々な機能がWindows10に追加される一方で、仕様変更も多々行われます。May 2020 Updateではこれまで省略可能だったMicrosoftアカウントによるパスワードログインが制限され、自宅でしかパソコンを使わないユーザーや別なセキュリティを導入しているユーザーに影響が出ています。

そこで今回はMay 2020 Updateで起動時のパスワード省略が出来なくなったWindows10と対処法についてご紹介します。

ユーザーアカウントの詳細設定画面からパスワード省略の項目が消えた

Windows10のユーザーアカウント設定は様々な設定が可能でその中にはログイン時のパスワードを記憶させ、ユーザーが操作せずに自動ログインを可能にする項目が存在していました。

Windows10の初期リリース時からこの設定を活用することが一般化していましたが、May 2020 Updateでは設定項目から消えて使用不可能に変更されています。そのためMicrosoftアカウントでWindows10へログインするには何ならかの方法で認証をパスする必要が生じています。

Microsoftはハードウェアごとに異なる設定が可能なPINコードやWindows Helloを推奨

Microsoftは生体認証情報を使うWindows Helloと個々のハードウェアごとに任意のコードを設定できるPINコードの利用を推奨しており、May 2020 Updateでの仕様変更はこれらの影響によるものと推測されています。

PINコードはパスワードとは異なり、同じMicrosoftアカウントであっても機種ごとに異なるコードを設定できるためパスワード方式よりも強固です。さらに複数回PINコードの入力を失敗すると再入力が可能になるまでの時間が増え、事実上ロックされることでアタックにも強いとされています。

従来通りにOS起動時のパスワードを省略するにはローカルアカウントへの切り替えが必須

PINコードもWindows Helloもこれまでパスワード省略を有効にしてきたユーザーにとっては代替策にはなり得ず、Microsoftアカウントへの依存度が低いならMicrosoftアカウントによるログインから旧来のローカルアカウントへ切り替える方が現実的です。

ローカルアカウントではパスワード設定をしないことで自動ログイン環境を作ることが可能です。なおWindows10を再インストールする際はアカウント設定画面に進む際にインターネットから切り離してオフラインにしないとローカルアカウントを作成できなくなっているため注意しましょう。

Microsoftアカウントによるログインとパスワード省略を両立するにはWindows Helloの顔認証がお勧め

Microsoftアカウントは様々なサービスと紐付いているためローカルアカウントへの切り替えが出来ない場合は、Windows Helloの顔認証が唯一の解決策となります。

デスクトップパソコンでもWindows Hello対応のカメラをUSB接続で増設すれば利用でき、OSの起動時にカメラの前に座っていれば自動的に認証が行われます。Windows Hello対応のカメラが実売価格5000円以上である点を除けば、利便性とセキュリティが両立できる最良の方法と言えます。

まとめ

数字だけで済むPINコードはパスワード入力よりも入力が容易ではありますが、これまでキーボードに触れることなく自動ログイン出来ていたユーザーに取っては一手間増えることに変わりはありません。

Windows Hello対応の生体認証機器も決して安価とは言えず、自宅でしかパソコンを使わない・パソコンがある部屋までのセキュリティがしっかりしているユーザー側からすればMay 2020 Updateによる仕様変更は大きな改悪以外の何者でもありません。

もし自動ログインできなくて困っているならローカルアカウントへの切り替えを行いつつもWindows Helloへの切り替えを検討してみましょう。

全ユーザーにIPoE接続方式が無償解放されたOCN

PPPoE接続特有の混線による速度低下が起きにくいIPoEは様々プロバイダーが参入しておりIPoE専用プランも登場しています。

古株プロバイダーであるOCNもIPoEへの切り替えを進めていましたが、遂にIPoE接続が無償で全ユーザーに提供が始まり注目されています。そこで今回は全ユーザーにIPoE接続方式が無償解放されたOCNについてご紹介します。

OCN光なら全てのユーザーが申し込み不要でIPoEへ移行可能

ユーザー数の多いOCNはPPPoE接続のよる速度低下とプロバイダー内のアクセス過多で2重に低速化しやすいプロバイダーのひとつでした。

その解決策としてIPoEへの順次移行がアナウンスされており、遂に2020年6月に全ユーザーへ無償解放されました。対象プランはOCN光、OCN for ドコモ光、OCN 光 with Flets、OCN光Fletsとなっており申し込み不要です。ユーザーはPPPoE接続から設定を変更すればすぐにIPoEへ移行完了します。

NTTが提供するホームゲートウェイと対応ルーターが必要

ホームゲートウェイは光電話を申し込むとNTTから貸し出される機器で、ネット回線だけを申し込んでいる場合は提供されません。

OCN問わずNTT光回線でIPoE接続をするためにはホームゲートウェイが必須のため、仮に固定電話を所有していなくてもIPoE接続するには光回線を申し込まねばなりません。またIPoE接続は対応ルーターも必須なため、現行品のWiFiルーターへの買い換えも必須です。

ホームゲートウェイ単独でIPoE接続へ対応予定

現状、IPoE接続のためにBUFFALOやNECがリリースしているWiFiルーターが必要になりますが、今後リリースされるアップデートでホームゲートウェイ単独のIPoE接続が可能になります。

有線接続ならホームゲートウェイで十分であり、既存のWiFiルーターをアクセスポイントとして流用することもでき、急がないならホームゲートウェイのアップデートを待ってもよいでしょう。

「OCN v6アルファ」は不要

OCN v6アルファは接続サポートとIPoE対応WiFiルーターのレンタルがセットになったオプションサービスです。

月額500円と割高なため1年以上IPoE接続を使うなら対応ルーターを購入した方が安く、IPoEの設定はPPPoE接続よりも簡単なので接続サポートも基本的に不要です。家電量販店などでネット回線を申し込むと強制的に加入させるケースがあるため注意しましょう。

PPPoE接続との併用可能

他のIPoE接続を提供するプロバイダーと同じくOCNもPPPoE接続と共存可能です。サーバー公開や宅外からホームネットワークにアクセスするにはIPv4が不可欠なケースがあり、外部との接続用にPPPoE接続は廃止できないという事情があります。

但しIPoEとPPPoE接続を併用しても回線速度は速くならないため、必要がない限り回線に負担をかけるPPPoE接続は止めましょう。

まとめ

コロナウイルス対策でリモートワークによるアクセスが増え、長く続いていたネット回線速度低下が終息した矢先のIPoEへの移行完了でタイミングを逸したOCNですが既存ユーザーにとっては朗報となりました。

プロバイダーの契約変更が不要なため、年間契約中であってもIPoEが接続できIPoE対応WiFiルーターさえ用意すればすぐに移行できるためネット回線の遅さに悩まされていてOCNを使っているならすぐに試してみることをおすすめします。

Microsoftアカウントの危険性

MicrosoftアカウントはOneDriveやMicrosoft Office、Windows10と紐付くWEBサービスであり、Microsoft製品を使用する上で必須の存在です。

それ故にソーシャルハックの対象にもなりやすく、一度乗っ取られてしまうと致命的な結末に至ることもあります。そこで今回はMicrosoftアカウントの危険性についてご紹介します。

アカウントをバックアップすることができない

MicrosoftアカウントはGoogleアカウントのようにバックアップを取得することが出来ません。Googleアカウントならサービスごと、アカウント全体を選択してバックアップが可能であり、いざという時はバックアップデータを使って復元も可能です。

しかしMicrosoftアカウントではそのようなサービスは提供されておらず、アカウントが使えなくなることはOneDriveやMicrosoft Office、Windows10が使えなくなることと同意です。

安易に「信頼済みデバイス」に追加するとアカウントを乗っ取られた際に窮地に陥る

定期的な再認証をスキップ可能にする「信頼済みデバイス」にパソコンやブラウザを登録すると同期もスムーズで非常に便利ですが、ソーシャルハックや盗難でアカウントを乗っ取れる可能性は格段に上がります。

2段階認証を有効化していても信頼済みデバイスからパスワード変更や回復コードの再発行(再発行すると古いコードは無効化される)が可能なため、ハッキング耐性はほぼありません。多少不便でも信頼済みデバイスには何も追加しない方が賢明です。

ハッキング被害に遭うとアカウントをロックされて復帰できない

Microsoft側がハッキングと判断するようなアクセスがあるとアカウントをロックしてアクセス不能な状態にします。

判定基準はハッキングによって変更されたパスワードや回復コードの復旧、回復コードを使ったパスワード初期化など複数のパターンがありますが、本来のアカウント所有者と攻撃者が数回アクセスを繰り返すだけでロックされてしまいます。

そして一度アカウントがロックされてしまうとロック解除は絶望的です。Microsoftはハッキングしてきた攻撃者の同意なしに情報開示に応じることはなく、紛争回避を理由にアカウントをロック解除に応じません。

ロックされるとアカウント・One Drive上のデータ・Officeのライセンスも全て失う

Microsoftアカウントは多くのサービスに紐付けされるため、ロックされると甚大な被害が出ます。Outlookメールを使っているなら全送受信メール、Outlookのアドレスに紐付いた様々なWEBサービス、One Driveに預けていた全てのデータ、購入したOfficeのライセンスも閲覧も利用も出来ず、業務で使用しているパソコンなら仕事が出来ないばかりか損失も生じます。

特にOfficeライセンスを複数紐付けている場合は被害額が10万円を超えてしまいます。

2段階認証を有効化していてもアカウントのロックを解除できない

ハッキング被害やアカウントのロックに遭遇したときに役立つのが2段階認証のはずですが、Microsoftアカウントの場合は2段階認証を有効化していると、Microsoftサポートチームが2段階認証を理由にアカウントのロック解除を断るという謎の対応を取っています。

2段階認証を使いアカウントのロック解除を試みても「2段階認証が有効化されているとMicrosoftサポートチームではアカウントを操作できない」という通知を出すだけで門前払いになってしまいます。

Officeのプロダクトキーや受信メールなどオフラインで保存できる物は積極的にバックアップを

メールはクライアントにデータを残さないIMAP方式が普及していますが、Outlookメールを使っているならいざという時に備えて従来のPOP方式で設定し送受信メールが残るようにしておけばデータだけは残ります。

OfficeライセンスもMicrosoftアカウントなしでインストール可能なプロダクトキーをOfficeのインストールサイトで確認でき、事前に控えておけばアカウントがロックされてもOfficeライセンスは残ります。

いずれも手動によるバックアップ手段ですが、Microsoftサポートチームが消極的な対処を続けている間は自衛手段として必要です。

まとめ

アカウント情報や個人情報の流出や漏洩が珍しくなくなったように、アカウントハックも対岸の火事ではなくなってきました。

様々なWEBサービスを使うほどハッキングやアカウントの乗っ取り被害に遭う確率も増えますが、Microsoftアカウントに関しては本人に不手際がなくともロックされ永久に閉ざされてしまうことを前提に考えておく必要があります。