2020年 4月 の投稿一覧

格安でも高パフォーマンスを発揮するAMD Ryzen Embeddedシリーズとは

2019年以降、ゲーミング分野では安さと性能の高さに加えて脆弱性の少なさからAMD Ryzenシリーズが急速にシェアを伸ばしています。

これまでIntelの独壇場だったノートパソコンやNUCに代表される小型デスクトップパソコンにもAMD Ryzenシリーズはシェアを伸ばし始めており、モバイル版や組み込み型製品向けのEmbedded版CPUもリリースされています。そこで今回は格安でも高パフォーマンスを発揮するAMD Ryzen Embeddedシリーズについてご紹介します。

マザーボードにはんだ付けされて交換できないがコストを抑えたRyzen Embedded

Ryzen Embeddedシリーズはマザーボードにはんだ付けされており、マザーボード単体やベアボーンとして流通しています。もちろん交換は出来ないため、用途に合った性能があるか見極めが非常に重要です。

また流通量が少ないため、コストパフォーマンスに優れる人気商品は欲しい時に入手出来ないことも珍しくありませんが、Ryzen Embeddedシリーズは2019年後半から採用製品が急速に増えています。今後も採用製品が続々とリリースされると予想され、入手性は良くなりそうです。

Vega3・8・11グラフィクスを内蔵し3D処理も圧倒的性能

Ryzen EmbeddedシリーズはVega3・8・11グラフィクスを内蔵しており、ライバル製品のIntel CPUとは比較にならない3D性能を持っています。

Vega11を採用した上位モデルは処理の重くない部類に入る3DゲームをフルHD解像度でプレイ可能です。もちろん長時間のゲームプレイにも耐えられますが、NUCの場合は負荷がかかり温度が上昇した時にファンの騒音が極端に大きくなることもあるため注意しましょう。

Intel NUCの約半額でRyzen Embedded構成の小型ベアボーン一式が購入できる

Ryzen Embeddedシリーズを採用した製品は対抗するIntel CPU採用製品の約半額で購入可能です。性能面でもRyzen EmbeddedシリーズはIntelに引けを取らず、3D性能に限ってはRyzen Embeddedシリーズのほうが優秀なためシェアを伸ばす要因にもなっています。

特にNUCは低価格故に一気に普及した経緯もあり、性能を落とさずにさらなる低価格化を実現したRyzen Embeddedシリーズの存在価値は非常に高いです。

狙い目は4コア8スレッドのV1807B

2020年4月時点でRyzen Embeddedシリーズの最上位はV1807Bであり、4コア8スレッドにVega11搭載という仕様です。CINEBENCH R20のベンチマーク結果はIntel NUCに採用されているモバイル版 Core i7 10710Uと同等でありながら価格は約半額で購入可能です。

i7 10710Uも数々の脆弱性を抱えており、今後アップデート対策と速度低下が起きることを考えると将来的には性能面でV1807Bが上回る可能性もあります。

まとめ

小ささを優先し、性能を犠牲にしがちなNUCですがAMD Ryzen Embeddedなら高性能・小型・低価格の3拍子揃った構成が可能になります。

最近では旧式のパソコンにミドルレンジのグラフィックボードを増設するリフォームパソコンが注目されていますが、耐久年数や全体のパフォーマンスを考えるとAMD Ryzen Embedded採用のNUCへ買い換えた方が賢い選択になるケースもあります。

これから低価格なデスクトップパソコンを購入するなら、AMD Ryzen Embedded採用製品から検討してみることをおすすめします。

Logicool製品の新しい修理保証手続きについて

マウスやキーボードなど様々なハードウェアをリリースし、ゲーミング製品が豊富なLogicoolは人気の高いメーカーです。さらに保証も手厚く、すぐに交換品を発送してもらえるため、他のメーカーのように数週間も待つことなくユーザーにとってうれしいサポート体制も評価されています。

しかし修理保証対応に変更があり、その内容が議論を呼んでいます。そこで今回はLogicool製品の新しい修理保証手続きについてご紹介します。

ユーザーに「故障した製品を粉砕させ、録画する」代わりに製品を送付せずに交換

通常、Logicoolに限らず故障した製品はメーカーへ発送し、修理済み品や再生品がユーザーのと手元に届きます。しかし、今回変更された手続きは故障した製品を発送せず、ユーザー自身が製品を粉砕する映像記録をメールでメーカーに送るというものです。

分解に不慣れなユーザーや非力な女性に分解や粉砕を求めるのは現実的な上に、工具なども別途揃えなければなりません。

破壊動画はメールで送信し、承認されるまで粉砕した製品は保管しなければならない

Logicoolによると、破壊する過程を編集なしで録画した動画をメールに添付して送る必要があるということですが、Logicoolが承認するまでは粉砕した製品を保管しなければなりません。

マウスなど小さな製品ならまだしも大きなハンドルタイプのコントローラーなどは、かさばる上に処分も手間がかかります。特に破壊した基板やプラスチックは鋭利な部分が多いため怪我をしやすく、そのままの状態でゴミ袋に入らないこともあるでしょう。

25Mbyte=720Pで30秒前後で破壊しなければならない

Logicoolが受信できるメールの容量は25Mbyteまでのため、添付する動画も容量に気を遣う必要があります。具体的には720Pで30秒前後、1080Pなら十数秒間がファイルサイズ25Mbyte相当です。

なお動画の冒頭にLogicoolから通知される番号を映すため、実際にはもっと短い時間で破壊しなければなりません。Logicoolの判断基準が「二度と製品が使えなくなる程度」のため、徹底的に分解や破砕する作業をこの短時間で終わらせることがいかにハードルが高いか想像に難くありません。

まとめ

Logicoolの修理対応変更は、従来メーカーが負担していた故障品を輸送するコストや故障品を産業廃棄物として処分するためのコスト、故障品をメーカーでチェックするコストをユーザーに転嫁することに他なりません。

ユーザー視点で見れば、破壊するための工具購入やサポート業務の一部負担などデメリットばかりが増えたと言えます。今後、どこまでこの修理対応方法が継続されるか不明ですが、容易に破壊できないLogicool製品の購入には注意が必要です。