2023年 5月 の投稿一覧

MMORPGの再復権はありえるか

MMORPGってプレイしたことがありますか?今やすっかりPCゲームの中心はFPSやMOになりましたが、そもそもゲーミングPCはMMORPGの進化とともに成長してきました。

しかし今は「アイテム集めとか面倒くさい」「レベルあげに何十時間もかかるとかあり得ない」などなど、MMORGPを否定する声が多く見受けられます。

私自身はMMORPGが今後も続いてほしいと考えているのですが、果たして今からもう一度ブームがくるのかはわかりません。そこで、MMORPGの将来について再考してみました。

MMORPGの魅力を改めて整理する

MMORPG)は、なんといっても仮想世界で大量の人々が同時プレイできることが醍醐味です。

数十万人以上を収容できるタイトルもあるほどで、仮想世界で同じ目的と価値観を共有しながら冒険することでコミュニティが生まれていきます。

その魅力は、他のジャンルであるFPSやRTSと比較しても何らそん色がありませんし、中毒性や依存性だけを考えればかなり圧倒的だと思いますね。

また、「何をしてもよいし、何もしなくてもよい」という自由度の高さ、さまざまな成長の要素なども他のジャンルでは味わえない特長です。

仲間との協力や交流、ギルド活動など、他のプレイヤーとの結びつきを築けることは「二つ目の人生」ともいえる体験です。今は、テキストチャット意外にもボイスチャットがありますから、さらに交流を深めやすいと思います。

これがMMORPGの危険な部分でもあるのですが…。

なぜMMORPGは廃れたのか?

私の記憶が正しければ、MMORPGの人気は2010年ころから急激に下降していきました。2012年にドラクエ10がリリースされた以後、FFシリーズを除けばビッグタイトルは成功していません。

あれだけ隆盛を誇ったMMORPGがなぜ衰退したのかですが、これにはいくつかの要素が絡み合っていると言えます。

まず考えられるのが、時間です。MMORPGは時間と努力(反復作業)を要するゲームです。プレイヤーはキャラクターを育てるために多くの時間と労力を費やさなければならず、現代社会のライフスタイルに合っていないのです。

短時間で楽しめるFPSやRTS、さらにスマホゲーの人気が上昇し、MMORPGの需要はこれら他のジャンルに吸われていきました。

さらに、MMORPGは初心者にとってハードルが高いことも挙げられるでしょう。複雑なシステムや操作方法、ゲーム内の攻略情報を網羅するにはかなりの学習が必要です。

「パっと見で直感的に理解でき、すぐに面白さが味わえる」FPSなどとは違い、MMORPGの初期はもはや学問です。この点も、MMORPGの人気低下に影響を与えているかもしれません。

MMORPGの人気復活の可能性はあるか?

個人的には「ある」と思いますね。ただしいくつかの条件があります。それは以下のようなものです。

没入感の強化

VRやフレーム生成技術の活用により、よりリアルで没入感のある世界が実現できれば、MMORPGは新たなフェーズに突入すると考えられます。

AIによる仮想人格(NPC)の強化

人工知能やディープラーニングの応用により、より賢くリアルなNPC(Non-Player Character)を実装することも可能になるでしょう。

例えばドラクエ10は運営期間が10年を超えましたが、いろいろ問題を抱えながらもこれだけの運営期間を維持できたのは「サポートなかま(AIで動く仮想的なプレイヤー)」が良くできているからです。

AIが高性能になったことで、生身の人間以上の行動や適切なサポートを選択するようになり、「一人でもプレイしやすくなった」ことが評価されています。

これは戦闘に限った話ですが、今後はコミュニケーションもできるAIキャラクターが登場するでしょうから、AIと人間が入り乱れたプレイも視野に入ってきます。

この「AIと人間が入り乱れる」という要素が、MMORPGのコミュニティ維持に関わってくるのではないでしょうか。

ストーリーテリングの導入:

かつてMMORPGの世界において、「ストーリーやシナリオは空気」でした。この流れを変えたのがドラクエ10で、ドラクエ10はストーリーのアップデートのタイミングで大量のプレイヤーが戻ってきます。

今後のMMORPGもストーリーテリングを導入することで、プレイヤーの没入感を底上げすることができるでしょう。そういう意味では、ドラクエ10はエポックメイキングな存在ですね。MMORPGの今後に期待したいところです。

OES(オリンピックeスポーツシリーズ)の開催と参加条件

eスポーツが五輪競技になると騒がれはじめてもう5年以上が経過しています。いまだに、いつ正式に五輪競技になるのかがはっきりしませんが、eスポーツのみの国際的な大会は増えているよう。

その証拠に、IOC(国際オリンピック評議会)が主催するeスポーツの大会、「OES(オリンピックeスポーツシリーズ)」がついに開幕となります。

今回はOESの概要や参加条件、今後の見通しなどをまとめてみました。

OES(オリンピックeスポーツシリーズ)のスケジュール

まずOESの概要ですが、以下のとおりです。

・国際オリンピック委員会(IOC)が国際競技連盟(IF)やゲーム会社と連携して設立した
・世界的なバーチャル&シミュレーションスポーツ競技大会である

IOCの後ろ盾があるので、これまでの民間企業が主催する大会とは格が違いますね。通常五輪に組み込まれる前の前哨戦のような位置づけなのかもしれません。

ちなみにスケジュールですが、

・2023年3月1日に予選が開幕。プロ、アマの制限なく各競技の予選ラウンドに参加
・予選は2023年5月15日まで
・予選通過者は2023年6月22日~25日にシンガポールで開催されるオリンピックeスポーツウィークでの対面形式による決勝戦へ参加

日本ではゴールデンウィークが終わった後に予算が終了、その後6月下旬にシンガポールで本場という日程になっています。

さらに種目は、以下9種目です。

アーチェリー:『Tic Tac Bow』
サイクリング:『Zwift』
セーリング:『Virtual Regatta』
ダンス:『Just Dance』
チェス:Chess.com
テコンドー:Virtual Taekwondo
テニス:『Tennis Clash』
モータースポーツ:『グランツーリスモ7』
野球:『WBSC eBASEBALLパワフルプロ野球』

ゲーマーがよく知る種目としてグランツーリスモとパワプロが挙げられていますね。個人的には、モーションキャプチャーで対戦するテコンドーがおもしろそうだと思いました。

OESへの参加はだれでもOK?

OESは各種目で予選を勝ち抜いたプレイヤーが決勝戦へ参加できる方式。では、その予選にはどうすれば参加できるのかというと、これは種目ごとに登録と参加手続きが必要なようです。

ここでは一例としてパワプロの参加条件を紹介します。

・WBSC eBASEBALL パワフルプロ野球をダウンロードしたPlayStationR4、5またはNintendo Switchを準備する
・2023年3月から開始されるオープンエントリーと予選ラウンドに参加(事前登録不要)
・ランキング上位者には個別に連絡が入る

予選日程

オンライン日本予選:2023年3月13日~3月19日
第1回オンライン世界予選:2023年3月27日~4月2日
オフライン日本最終予選:4月8日
第2回オンライン世界予選:2023年4月17日~4月23日

この記事の執筆時点ですでに予選は終了していますが、来年も開催されるとすれば、年明けから準備を進めたほうが良いかもしれないですね。

事前登録不要のオープンエントリー方式というのは、端的に言えば「誰でも参加できる」ということ。今年は初めての試みということであまり話題になっていませんが、来年以降は参加者も増えるかもしれん。

OESは今後も開催されるのか?

実はOESの前にも、OVS(オリンピックバーチャルシリーズ)が2021年5月から6月にかけて開催されています。

OESはこの流れを汲むイベントと考えられ、今後も定期的にeスポーツがらみのイベントが開催されそうです。

とはいえ、正式な五輪種目になるのかはまだまだ不透明な状況で、一説には2028年のロサンゼルス五輪が有力との見方もあるようですね。

身体的なハンデに関係なく腕を競えるのがeスポーツの強み。ゲーム好きとしてはどうかこのまま競技として広まっていって欲しいと願うばかりです。

AMDの切り札「3D V-Cache」搭載CPUはどれを買うべきか

Ryzen7 5800X3Dの圧倒的なコスパの高さから注目を浴びることになった技術「3D V-Cache」。

3D V-Cacheを搭載したCPUは、ゲーミング用途において極めて高いパフォーマンスを発揮するため、PCゲーマーならば無視できない存在です。

AMDはRyzen7 5800X3Dでの成功を、次世代のCPUにも引き継ごうとしており、新たな3D V-Cache搭載モデルが登場しています。

今回は、その中から特に狙い目のCPUがどれなのかを考えてみました。

3D V-Cacheについておさらいしよう

まず、3D V-Cacheについて簡単に復習しておきましょう。

3D V-Cacheとは、AMDが開発したCPUの高速化技術の一つで、高密度なキャッシュメモリを効率よく実装することができるようにするための技術です。

従来のCPUでは、プロセッサコアのキャッシュメモリは2D(つまり平面上)で配置されていました。しかし、キャッシュメモリの増大に伴い、その大きさが足かせになり、結果的にキャッシュ容量が制限されることになっていたのです。

これに対して3D V-Cacheは、キャッシュメモリを従来の2D配置ではなく、積層する3D(立体構造)状の集積回路として配置しました。

これにより、より小さな面積に大量のキャッシュメモリを配置できるほか、コアとキャッシュメモリとの距離を短くしてデータの取得速度が高速化されたのです。

キャッシュメモリ容量制限の問題を克服し、コアとのデータ通信速度も向上したことで、ゲーム用途で素晴らしいパフォーマンスを発揮するようになったと言われています。

新世代の3D V-Cache搭載CPU

AMDの3D V-Cache搭載CPUは「ゲーミング特化型CPU」とも呼ばれており、今後もCPU界隈の台風の目になりそうです。

そんな3D V-Cache搭載CPUの最新モデルを見ていきましょう。2023年4月時点では、以下のようなCPUがラインナップされています。

Ryzen 9 7950X3D

16コア32スレッド
ブースト最大クロック 5.7GHz
L3キャッシュメモリ容量 144MB
TDP 120W
2023年2月28日発売,約11万円

Ryzen 9 7900X3D

12コア24スレッド
ブースト最大クロック 5.6GHz
L3キャッシュメモリ容量 140MB
TDP 120W
2023年2月28日発売,約9万円

Ryzen 7 7800X3D

8コア16スレッド
ブースト最大クロック 5GHz
L3キャッシュメモリ容量 104MB
TDP 120W
2023年4月6日発売,約6万8000円

いずれも5万円を大きく超える高価格CPUですね。前世代の5800X3Dがあまりにも優秀で評判が良かったためなのか、全体的に強気の価格設定です。

コスパは意外にもRyzen 9 7950X3Dが良好?

お手軽さで見ると、Ryzen 7 7800X3Dが優秀ですよね。8コア16スレッドで5GHz動作、7万円を切る価格ということで、ハイエンド層の中では手が届きやすく扱いやすいCPUです。

ただし、最新世代の3D V-Cache搭載CPUは、価格と正比例するようにスペックも挙がっています。具体的にはL3キャッシュメモリ容量と物理コア/スレッド数が増えるため、実は最上位の7950X3Dがコスパ最強かもしれません。

価格だけを見ると11万円とかなり高額なのですが、7800X3Dの倍のコア/スレッドを持ち、さらにLキャッシュメモリは4割増し。それにもかかわらず価格は6割増し程度なので、実際には割安感があります。

PBOが有効で焦げる?使用するマザーボードに注意

個人的にはまずお手頃価格なRyzen 7 7800X3Dを購入候補にしたいところですが、Ryzen 7 7800X3Dに対応していないBIOSで問題が発生しているようです。

Ryzen 7 7800X3D非対応のBIOSでPBO(Precision Boost Overdrive)が有効になっていると、電圧や温度が正常に管理されず、マザーボードが焦げてしまうリスクがあるのだとか。

一部のマザーボードでのみ確認されていますが、特定のソケット(LGA1718)全体の問題なのかは未知数です。Ryzen 7 7800X3Dを購入する場合は、必ずBIOSが対応しているマザーボードとセットで運用するようにしましょう。

AMDのCPUが焦げる?Ryzen7000のバーニングアウト問題のポイント

以前も少し紹介したことがありますが、Ryzen7000シリーズを使用しているユーザーから「焦げ」に関する報告が上がっているようです。

CPUやマザーボードが熱で焦げる、という事象はかなり深刻ですよね。一体どのような問題が生じているのでしょうか。

Ryzen 7000X3Dチップの焼損問題

2023年に発売されたRyzen 7000X3Dシリーズ。X3Dシリーズはゲーム用途特化のCPUとして名を馳せた「Ryzen 7 5800X3D」が有名です。

同CPUの成功を受けて、最新世代でもX3Dシリーズがリリースされました。しかしこのX3Dシリーズで、CPUが高熱になり、焦げてしまうという事象が報告されています。

具体的には、

  • CPUの温度が上がりすぎることでCPUとソケットの一部が焦げてしまう
  • 焼損(焼かれ、傷つくこと)した部分は黒く変色している
  • CPUの一部が熱で膨らんでしまう

といった事象だとのこと。海外の掲示板「Reddit」であるユーザーから報告があり、一気に広まりました。

当初はASUSのマザーボードとの組み合わせで起こるとの報告がありましたが、どうやらMSIなどほかのマザーボードでも起こっている模様。

AMD公式によると「EXPO」と「SoC電圧」が原因

発生当初は、「原因はBIOSである可能性が高い」との情報が出回りました。

この件について、海外のメジャーなPC関連情報サイト「tomshardware」では、AMDの公式見解を紹介しています。

AMDは、2023年4月25日、X3Dシリーズの焼損問題について「根本原因を特定した」と発表し、その原因が「過剰なSoC電圧」にあるとしました。SoC電圧とはメモリコントローラーの電圧設定です。

どうやらSoC電圧が勝手に高く設定され、チップセットの熱センサーや保護回路を破壊してしまうことで、熱に対する保護機能が失われてしまうようです。

また、SoC電圧が高くなってしまう原因については、「EXPO機能」にあるとしています。EXPO機能はAMDの次世代メモリオーバークロック機能です。

メモリオーバークロックは電圧設定の調整が必要ですが、これを自動で行ってくれることが特徴でした。しかし今回の件で、AMD EXPOが設定した電圧が不適切であり、SoC電圧の上昇と熱保護回路の破壊という事態につながったとしています。

すでにAMDでは、SoC電圧を1.3Vに制限するファームウェアの配布を開始。マザーボードベンダーも同様のファームウェアを配布し始めており、X3Dシリーズの焼損問題は一応の決着に向かいそうです。

もしCPUが焼け焦げてしまった場合の扱いは?

日本のユーザーからは報告がほとんどありませんが、今回のように標準機能のみ使用している状態でCPUが焦げてしまった場合は、基本的に保証内で対応されます。

AMD EXPOはAMDが提供する機能なので、保証はAMD本体になるかもしれませんね。しかしCPUとマザーボード(CPUソケット)両方にダメージがあるので、マザーボード側はそれぞれのベンダーに対応を委ねる必要がありそうです。

Ryzen 7000 X3DシリーズはCPUとマザーボードで10万円を軽く超えますし、EXPO対応のOCメモリも高額です。

まだ完全に原因が特定されたわけではないようなので、これからX3DシリーズやEXPO対応メモリを購入する方は注意が必要ですね。私なら半年くらいは様子見しちゃいます。