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MXMフォームファクターとは?ゲーミングノートPCや組み込み向けGPUの秘密

ノートPCのGPUは交換できないと思われがちですが、一部のモデルでは「MXM(Mobile PCI Express Module)」という規格を採用しており、GPUの交換やアップグレードが可能です。

今回は、MXMの仕組みや利点、課題、そして現在の市場動向について詳しく解説します。

MXMフォームファクターとは?

PCパーツの中でも、あまり知られていない規格の一つが「MXM(Mobile PCI Express Module)」です。

これは主にゲーミングノートPCやワークステーション向けのGPUとして使用される、交換可能なモジュール式のグラフィックカードの規格です。

通常のデスクトップ向けPCIeスロットに挿すGPUとは異なり、コンパクトな基板にGPUとVRAMを搭載し、ノートPCや小型デバイスのマザーボードに直接装着できるようになっています。

MXMの最大の利点は、GPUの交換やアップグレードが可能な点です。一般的なノートPCでは、GPUがマザーボードに直接ハンダ付けされており、ユーザーが交換することはほぼ不可能です。

しかし、MXMモジュールを採用したノートPCであれば、互換性のあるGPUに交換することでグラフィック性能を向上させることができます。

特に、プロフェッショナル向けワークステーションやハイエンドゲーミングノートPCにおいて、長期的なパフォーマンス維持やメンテナンスが楽になりますね。

グラボ交換がノートPCでもできる!という点は結構画期的ではないでしょうか。

MXMのバージョンと仕様

MXMにはいくつかのバージョンが存在し、初期のMXM 1.0から始まり、現在ではMXM 3.1が主流となっています。

バージョンによってピン数や電力供給能力、物理的なサイズが異なり、ハイエンド向けのMXMモジュールはサイズが大きく、より多くのVRAMを搭載可能です。

たとえば、NVIDIAのRTXシリーズの一部モデルにはMXM版が存在し、ノートPCや組み込み機器に搭載されることがあります。

MXMの普及が進まない理由

しかし、MXMモジュールの普及はまだまだという状況です。理由は、メーカーごとにカスタマイズされたMXMスロットの設計が多く、標準化されているとはいえ完全な互換性が保証されていないから。

また、ノートPCメーカーは軽量化やコスト削減のために、ハンダ付けされたdGPU(ディスクリートGPU)を採用する傾向が強くなっており、交換可能なMXMモジュールの採用は徐々に減少しています。

一方で、産業用PCや医療機器、軍事用途などでは、MXMモジュールの採用が根強く続いています。これらの分野では、長期間にわたるメンテナンス性やアップグレードの容易さが求められるため、モジュール式のGPUが重宝されています。

また、小型ワークステーションや組み込みシステム向けの専用GPUとして、特定用途向けのMXMモジュールが開発されることもあります。

縮小傾向だが復活の可能性も

近年では、外付けGPU(eGPU)ソリューションやノートPC向けのハンダ付けGPUの進化により、MXMモジュールの市場は縮小傾向にあります。

それでも、一部のハイエンドゲーミングノートPCや特殊用途向けシステムでは、交換可能なGPUの利便性を求めるユーザーが一定数存在します。

MXMモジュールの将来は不透明ですが、ノートPC派が増えていることもあり、グラボの交換需要は旺盛なはず。何かの機会に復活する可能性は大いにあります。

MSMは、一般のPCユーザーにはあまり馴染みがないものの、アップグレード可能なノートPCや産業向けシステムにとって価値のある技術です。

もしゲーミングノートPCのGPUを交換したいと考えているなら、MXM対応モデルを選ぶことで将来的なアップグレードの選択肢が広がるかもしれません。

ただし、互換性の問題や入手性の悪さもあるため、事前のリサーチは必須です。

NVIDIAのグラボ購入が審査制に?「Verified Priority Access」とは

グラボは高騰しているだけでなく、品薄状態が続いています。特にNVIDIAのRTX50シリーズは転売目的での購入者が増えたせいなのか、手に入りにくいですよね。

こうした状況に対応すべく、NVIDIAが「審査制の購入制度」を開始しました。その制度とは「Verified Priority Access」と呼ばれるもの。

いったいどんな制度で、日本でも適用されるのでしょうか。

「Verified Priority Access」とは

NVIDIAのVerified Priority Access(VPA)は、GeForce RTXシリーズの新しいグラフィックカードを購入したいユーザー向けの優先購入プログラムです。

主に、正規のゲーマーやクリエイターが転売業者に買い負けないようにするための仕組みとして導入されています。

Verified Priority Accessの概要

1. 目的

・RTX 50シリーズの転売阻止

2. 参加資格

・2025年1月30日6時(米国太平洋時間)以前に作成されたNVIDIAアカウントをもっているユーザー

3. 購入プロセス

・本プログラムの専用フォームから申し込み、同社の審査を受ける
・審査が通過したユーザーにはメールで購入に関する案内が届く

今回はRTX50シリーズに特化した購入プログラムのようですが、今後も新しいグラボが出るたびに実施される可能性があります。

NVIDIAのアカウントは作っておいたほうがいいかもしれないですね。

Verified Priority Accessのメリット

このプログラムのメリットは以下3点です。

・転売業者(BOT)対策
・正規ユーザーが優先的に購入できる
・公式ルートで購入できるため安心

近年は人気のあるデバイスをBOTで自動購入するユーザーが増えています。例えば、iPhone13シリーズが出た時も熾烈な購入争いが発生しました。

国によっては「ただ新品を買って売るだけ」で利益が出てしまうので、転売ヤーの標的になってしまうのです。

必然的に「本当に必要なひと」にはいきわたらず、価格も無駄に高騰します。こうした弊害を防止することで、我々普通のPCゲーマーも安心してグラボを買えるようになるわけです。

一方でデメリットとしては、

・誰でも参加できるわけではない(任意の時期以前にアカウントを作っておく必要がある)
・招待されても在庫保証はない
・日本での対応状況が不明確(地域による差がある可能性)

などが挙げられます。特に日本で実施されるかは未定です。今回の措置は米国向けなので、今後日本にも波及する可能性はあるでしょうが…。

どうしても本国が優先されますからね。ただし、実施されれば価格が落ち着く可能性もあるので、ここは静観して待ちましょう。

審査制は面倒だが安定供給のためには我慢するしかない

スマホではアイフォンが実質審査制のようになることがあります。過去の購買履歴をチェックされるわけです。

NVIDIAのグラボも同じようになるとすれば、ちょっと、いやかなり面倒ですね。しかし異常な高騰と品薄を解消するためには仕方のないことなのでしょう。

今後も同様の処置が出ることを考え、NVIDIAのアカウントは作っておいたほうがいいかもしれません。

グラボは後から買う!GPUなしでも拡張可能なゲーミングPCの選び方

ゲーミングPCを購入するとき、最新のグラフィックボードを搭載したモデルを選びたくなります。しかし、現在のグラボ価格は高騰しており、予算内で理想の構成を組むのが難しい状況です。

そんなときは「グラボなしのPCを購入し、後からGPUを追加する方法」を検討してみましょう。将来的にグラボを搭載しやすいPCを選べば、無駄なコストをかけずにアップグレードが可能です。

今回は適切なPCの選び方や、ビジネスPCを活用する方法について詳しく解説します。

グラボを受け入れやすいPCの条件とは?

グラボを後から追加するには、最初に選ぶPCの仕様が重要です。

どんなPCでもグラボが搭載できるわけではなく、電源容量、PCIeスロット、ケースの内部スペースなど、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

電源容量(W数)

グラボは消費電力が大きいため、電源ユニット(PSU)の容量が十分でなければ動作しません。

例えば、GTX 1660 Superなら450W、RTX 3060なら550W以上の電源が推奨されます。RTX 3070以上のハイエンドGPUを追加する予定なら、750W以上の電源を選んでおくと安心です。

80 PLUS認証のある電源ユニットを選ぶと、安定した電力供給が可能になります。ちなみにRTX4070Ti Superクラスでも800Wで余裕があるので、不安な方は800Wを積んでおくといいですね。

PCIeスロットの確認

グラボは、マザーボード上のPCI Express(PCIe)スロットに接続して動作します。一般的なゲーミングPCなら、PCIe x16スロットが1つ以上搭載されています。

しかし、メーカー製の小型PCやビジネス向けPCでは、スロットの種類や配置が制限されている場合があります。購入前に、PCIe x16スロットの有無と、他の拡張スロットとの干渉がないかを確認しましょう。

ケース内部のスペース

ハイエンドなグラボは長さが300mmを超えるものもあり、ケース内のスペースが不足すると取り付けできません。

特に、小型のミニタワーやスリムケースでは、グラボが物理的に入らないことがあります。購入時に、ケースの拡張性やグラボの最大対応サイズをチェックすることが重要です。

また、グラボを搭載すると内部のエアフローが変わるため、十分な冷却性能を確保できるかも考慮する必要があります。

グラボの周辺があまりにも密になりすぎていると、熱気がこもってサーマルスロットリング(高熱による性能低下)を引き起こすからです。

特にグラボの下側(PCの底面側)に余裕があるかはしっかりチェックしておきましょう。

内蔵GPUでしばらく運用するのはアリ?

グラボなしの状態でも、最近のCPUに搭載されている内蔵GPUは意外と高性能です。

IntelのIris Xe や AMD Radeon Graphics(Ryzen Gシリーズ) を搭載したPCなら、軽量なゲームは快適に動作します。

例えば、「VALORANT」や「League of Legends」は、フルHD解像度で60FPS以上を維持できます。「Minecraft」や「Stardew Valley」などのインディーゲームも問題なくプレイ可能です。

動画編集や画像処理も、軽い作業なら内蔵GPUで十分こなせます。グラボを買うタイミングを待ちながら、まずは内蔵GPU環境でPCを運用するのも一つの方法です。

ビジネスPCにグラボを搭載するという選択肢

ゲーミングPCを購入しなくても、ビジネスPCをベースにグラボを増設するという方法があります。

ビジネスPCは中古市場で安価に入手できるため、コストを抑えつつゲーミング環境を構築できます。ただし、すべてのビジネスPCがグラボに対応しているわけではありません。

拡張性のあるビジネスPCを選ぶ

ビジネスPCの中でも、タワー型のモデル(HP Zシリーズ、Dell OptiPlex など)は拡張性が高く、グラボを増設しやすいです。

スリム型のPCは、ロープロファイル(Low Profile)の小型グラボしか搭載できないため、注意が必要です。

ロープロ版のRTX3050などもありますが、そもそもロープロ版はミドルレンジ以上のグラボでは発売されません。

電源の交換が必要な場合も

ビジネスPCは省電力設計のため、搭載されている電源ユニットの容量が小さいことが多いです。標準の電源が250W=300W程度だと、消費電力の大きいグラボを動作させるのは難しくなります。

また、電源が汎用品ではない独自仕様の場合や長方形のタイプであると、高容量電源との交換自体が不可になります。正方形の汎用的なATX用電源が積んであるかをチェックしましょう。

知識されあればゲーミングPCは安く手に入る

グラボなしのPCを購入して後からGPUを追加する方法は、コストを抑えつつゲーミング環境を構築する賢い選択肢です。

電源容量、PCIeスロットの有無、ケースの内部スペースを考慮して拡張しやすいPCを選びましょう。

また、「ビジネスPCを活用してグラボを増設する」という選択肢も視野に入れることで、より安価にゲーミング環境を整えることができます。

コスパ最強!中古・型落ちグラボの選び方と注意点

最新のグラボは高価で、なかなか手が出せないと感じる方も多いです。しかし、中古や型落ちのグラボなら新品よりも大幅に安く手に入れることができます。

一世代前のモデルでも、十分なゲーミング性能を発揮するものは多く存在します。また、中古市場で賢く選べば、予算を抑えつつ快適なゲーミング環境を整えられます。

ここでは「型落ちでもOK!」な方に向けてグラボ選びのポイントや、購入時の注意点を詳しく解説します。

狙い目の中古・型落ちグラボはどれか

過去世代のグラボでも、現在のゲームを快適に動作させるものは多数あります。

たとえばフルHD~2Kレベルであれば、「GTX 1660 Super」「RTX 2060」「RX 5700 XT」 などは、中古市場で手頃な価格になっています。

あとは比較的新しめの「RTX3050」なんかもおすすめですね。以下は中古価格相場です。(2025年3月時点)

・GTX 1660 Super:9000~15000円程度
・RTX 2060:20000~25000円程度
・RX 5700 XT:25000円程度
・RTX3050:30000円程度

RTX3050は結構ねらい目ですね。性能でいえば2060なのかもしれませんが、世代が新しく良品が多いです。

また、GTX1660Superはかなり価格が抑えられていて、失敗してもそれほど痛くないのが好印象。私はサブPCでいまだにこれを使っていますが、海外の重量級ゲーム以外なら大抵遊べてしまう汎用性の高さが魅力です。

中古グラボを選ぶ際の注意点

中古グラボを購入する際は、コンディションの確認が重要です。特に注意したいのが暗号資産マイニング用途で酷使されていた個体ですね。

ただ最近はマイニング特化のグラボと汎用グラボは明確に分かれているので、それほど心配はいりません。

主な注意点としては以下が挙げられます。

自信がないならフリマは使わない

鉄則ですね。フリマは「目利きができる=過去に中古品を何度も購入したことがある」方のみが使うべきです。

不具合がでるかどうかは運でしかなく、写真だけではグラボの健康状態を判断できません。ただし、出品者がしっかりとPCパーツの知識があり、評価数も2桁以上、ほぼ100%の高評価であれば問題は出にくいですね。

最悪なのは「通電確認のみ」という中抜き業者。こういった業者は「知識がない」「確認していない」ことを言い訳に安くしていますので、あまりおすすめできません。私も過去に、1か月程度で不具合が発生したケースがありました。

新しい世代ほど良い

中古の場合、どうしても使用歴がわからないので、「新しい世代のほうが低リスク」になります。

もちろん、古い世代でも低負荷で適切に使っていた方は多くいるのですが、「経年劣化」のリスクがありますからね。

個人的に、7年以上前のグラボには手を出さないようにしています。この7年というのは発売時期ではなく「購入された時期」です。

もし購入時期がわからない場合は、発売時期で見ていきましょう。たとえばRTX3050は2022年1月の発売なので、最も古い個体でも「3年落ち」です。(2025年現在)

3年程度ならば経年劣化のリスクはほとんどないので、まず安心して買えます。

不安ならばBTOメーカーの中古を買う

初心者にはこれがおすすめですね。BTOメーカーが扱う中古は、しっかりと検品が行われているのでハズレがほとんどありません。

また短期ですが保証もあるので、少し割高でも買う価値は十分にあります。私も何度も利用しています。

ただし、人気のモデルはすぐに売れてしまうので頻繁にチェックしたいところ。

正直「PCに組み込んでしまえば新品と同じ」です

中古・型落ちグラボは、ハズレさえ引かなければ非常にコスパの良い品物。ハズレはよほど変な買い方をしない限り引きません。

BTOメーカーの出している中古ならば、ハズレを引くほうが難しいレベルですね。

また「中古に抵抗がある」という方でも、いったんPCに組み込んでしまえば気にならなくなります。何しろほとんど目に入りませんから。

PCパーツの良いところはこの点で、「使用しているうちに中古・型落ちでも気にならなくなる」わけです。性能さえ満たしていればOKですから。

お財布事情が厳しい方、少し時間を割いて中古・型落ちグラボを探してみてはいかがでしょうか。