2022年 7月 の投稿一覧

古いパソコンでも快適に動作するChromeOS Flex

ChromeOSはGoogleが開発したパソコン「Chromebook」に搭載されているOSで動作が非常に軽く、Windowsマシンとしては使い物にならないほど低スペックでも快適に動作します。しかし、長い間ChromeOSは単独で提供されておらず、ChromeOSの操作性を試したり古いパソコンに入れて再利用することはできませんでした。このような状況もGoogleから公式にChromeOSを無償提供されるようになったことで大きく変わろうとしています。そこで今回は、古いパソコンでも快適に動作するChromeOS Flexについてご紹介します。

ChromeOSの基本機能だけだが、あらゆるパソコンへ導入可能

ChromeOS Flexは最新OSが動作しない10年以上前のWindowsパソコンはもちろん、Apple Macでも動作し、無償で利用可能です。ユーザーはインストール用のUSBメモリを用意し、インストールデータをダウンロードすればすぐにセットアップが始まります。なお、インストール時にストレージ内のデータは全て消去されてしまう点には注意が必要です。ChromeOS FlexはブラウザであるGoogle Chromeのみが動作するというシンプル設計ですが、Google DocsやGoogleスプレッドシートなどオンラインサービスでほとんどの用途に対応可能です。

子供向けやネット閲覧専用端末としては十分だが仕事用では不安な面も

古すぎて持て余しているパソコンや、スペックが低くストレスが溜まるパソコンへChromeOS Flexを導入すれば安全で快適なネット閲覧用パソコンになります。ゲームなどのアプリインストールが全く出来ない点も不便に感じますが、子供向けのパソコンとしてなら親が安心して渡せるというメリットになります。パソコン側がTPM2.0などセキュリティ機能を持っていればChromeOS Flex側でも利用可能ですが、古すぎるパソコンではTPMが未搭載の場合も多く業務など仕事で使うにはハイリスクと言えます。他にも光学ドライブや指紋リーダーなどネット閲覧に直接関係ないデバイスはサポートされないことも業務利用にはやや不向きです。

導入が簡単で万人受けするWindows代替OS

Chromium OSなどChromeOSから派生したオープンソース版は無償ですが、導入が難しく誰でも簡単にインストールできるようなものでもありませんでした。導入時にトラブルが起きた際も情報が少なく、初心者にはハードルが高すぎて容易に試すことも困難です。その点、ChromeOS Flexはインストール手順が大きく改善されておりTPM2.0非対応でWindows11へ移行できないパソコンの延命先として有力な候補のひとつになりました。

まとめ

ブラウザによるネット閲覧のみと割り切った機能しかありませんが、廃棄するしかなかった古いパソコンを延命・活用する方法としてChromeOS Flexは魅力的な移行先です。最近ではブラウザだけでも多くのことが可能なこともあり、ChromeOS Flexへ移行しても多くのユーザーは問題なく使い続けられると推測されます。もしWindows11へアップグレードできないパソコンを所有しているならChromeOS Flexへ移行してネット閲覧専用パソコンとして延命してみることをおすすめします。

GPUパワーが必要なゲームジャンル3選

ゲーミングPCを購入するときに、GPUの性能を気にされる方が大半だと思います。

GPUパワーはどのゲームにもある程度は必要ですが、必要な分野とそうではない分野の差が激しいですね…。

そこでGPUパワーが必要なゲームジャンルを調べてみました。

GPUパワーが必要なゲームジャンル

まず、ジャンルの中でも描画の差が大きいので、主観が入っていることをご承知ください。

PCゲームに触れて早20年以上が立ちましたが、私がこれまでの経験からGPUパワーが必要だなと感じたジャンルは以下3つです。

FPS

ここでは、ファーストパーソンシューティング(一人称視点、FPS)とサードパーソンシューティング(3人称視点、TPS)を同一として扱います。

やはりFPSは伝統的にGPUパワーが必要ですね…。これはここ10年くらいでFPSが大流行したので、皆さんご存知だと思います。

FPSは動きが激しく、フレームレートが高ければ高いほど有利ですし、描画も凝っていますのでGPUパワーが高いに越したことはありませんね。

オープンワールド系

個人的にMMOやMOVA、RTSと迷ったのですが、やはり最近の傾向を踏まえてオープンワールド系をピックアップしました。

オープンワールド系は、描画範囲が非常に広いことや、キャラやアクションのグラフィックに凝っている作品が多いので、かなりのGPUパワーを必要とします。

もちろん、画質を落とせばロースペックでも遊べないことはないのですが、それでは作品の魅力が半減してしまいますからね。

また、ここ3年くらいで個人的にすばらしいと思ったゲームの大半がオープンワールド系でしたので、これからもGPUに投資するだけの価値あるタイトルが続々と出ると思います。

2022年ならELDEN RINGでしょうかね。公式の推奨動作環境がGTX1070となっているので、画質を最高クラス(4Kかつ60FPS)に上げたい場合はRTX3070付近の性能が必要だと思います。

ホラー

以外に思われる方が多いかもしれませんが、ホラーもGPUパワーが必要なジャンルです。

その理由は、独特な描画にあります。ホラーは暗闇やゆらぎ(ゆげ、霧、炎、水面)などの描画が多様される傾向にあります。

また、色彩が鮮やかでショッキングなほど怖さが増しますよね。このことから、GPUパワーを必要とする描画処理が多いのです。

最近リリースされた中では、Half-Life: Alyxなどが恐怖感が高く有名ですが、このタイトルはVR対応版。

VRでその怖さを最大限に引き出すためには、RTX2070以上を推奨します。3000シリーズならRTX3060Tiあたりが無難かもしれませんね。

逆にGPUパワーがそれほど必要ないジャンルは?

せっかくなので、GPUパワーがそれほど必要ないジャンルもピックアップしてみました。

・MMORPG(ただし一部を除く)
・ブラウザゲーム全般
・MOBA系

MMORPGは10年以上前からある有名タイトルならば、軒並みCPUパワーのほうが重要な傾向にあります。

GPUは最新世代~準最新世代のミドルレンジクラスで十分であることがほとんどですね。

MMORPGはとにかく人を集めないと始まらないので、できるだけ敷居を低くする傾向にあります。

また、ブラウザゲームはすっかり低調ですが、ブラウザ内の処理が問題なければ良いので低スペでも問題ありません。今ならCPU内蔵グラフィックでも全く問題ないものが多いと思います。

MOBA系は見かけは新しいのですが、描画や動きよりも戦略を競うゲームという性質から、要求されるGPUパワーも抑え気味のようですね。

ゲーミングPCを購入する際には必ず「お目当てのゲーム」があると思いますが、自分が好きなジャンルがわかれば購入すべきGPUのランクも分かるはず。是非参考にしてみてください。

GTX1630は低価格ゲーミングPCにとっても微妙かもしれない

RTXシリーズがどんどん当たり前になり、旧世代のGTXシリーズはあまり見かけなくなりましたが、ここにきてローエンドなGPUが発売されるようですね。

そのGPUとはGTXシリーズの最も下に位置する「GTX1630」。果たしてGTX1630はローエンドゲーミングPCの希望になりうるのでしょうか。

GTX1630の具体的なスペック

NVIDIAが2022年6月28日に行った発表によれば、GTXシリーズの最下位に位置するGTX1630のスペックは以下のとおりです。※カッコ内は1650の数値です。

・アーキテクチャ:Turing,12nm FFN(1650、1650SUPERと同じ)
・GPUコア:TU117-150(TU117-300)
・CUDAコア数:512(896)
・テクスチャユニット数:32(56)
・コア周波数:1740MHz(GDDR5版:1485MHz、GDDR6版:1410MHz)
・搭載メモリ:GDDR6 4GB(4GB)
・メモリ速度:12Gbps(GDDR5版:8Gbps、GDDR6版:12Gbps)
・インタフェース:64bit(128bit)
・メモリ帯域:96GB/s(128GB/s、192GB/s)
・TDP:75W

このデータからわかることは次のとおりです。

・アーキテクチャ、GPUコアともに1650と同じ
・演算ユニットの数を減らし、動作周波数を挙げている
・以上のことから、GTX1650の性能を抑えたバージョンといえる

個人的な感想ですが、TDP75Wというのがどうも引っ掛かりますね。性能的にはRadeon RX 6400未満とのことなので、3Dゲームをプレイできるギリギリのラインなはずです。

その一方で、上位のGTX1650と同じTDPということなので、電力消費の面でのアドバンテージはほとんど無いことになります。

海外のレビューによれば、ゲームプレイ時の消費電力量は50W近辺になるようなので、エコといえばエコなのですが性能から考えると微妙です。

上位との差があまりにも大きい

GTX1630のようなローエンド帯のGPUは、だいたいハイエンド~ミドルレンジの製品が出そろったあとにリリースされます。

ほとんどの場合が直近上位モデルの性能を抑えたバージョンなのですが、GTXシリーズの場合はさらに上にRTXシリーズがありますよね。

RTXシリーズに最適化されたゲームが増えてきており、2022年時点ならばRTX3050~3060Tiをターゲットにしたタイトルがどんどん増えています。

RTX3050~3060TiとGTX1630の差は、GTXシリーズ単体だったころよりも遥かに大きく、「ギリギリの性能で可能な限り安く抑える」という方法が成立するのか疑問です。

端的に言えば、「安物買いの銭失い」にならないかと心配になってきます。かつてのGT1030のような立ち位置になると思いますが、あのときとは状況が違いますから。

GTX1630レベルの性能ならば、CPU内蔵のGPUやAPUであっても実際にできることは変わらないと思います。

2万円台で購入する意味があるか疑問

米国の現地価格が150ドル程度、日本での販売価格が2万円台前半、実際には割引などがあって2万円ちょっとに落ち着くと思います。

ただ、2万円でこの性能を買うならば、GTX1650SUPERの中古を狙ったほうがお得かもしれないですね。GTX1650SUPERはネットオークションならば2万円ちょっとで購入可能です。

もう少し早くリリースされていればコスパをアピールできたかもしれませんが、GPU価格が落ち着いてきている今、存在感を示すのは難しいと思います。

それでも、古いPCの簡易的なアップグレードならば問題なさそうですね。

壊れたNASからデータを取り出せるmdadm

NASはパソコンだけでなくレコーダーからも利用出来るため、一般家庭にも普及が進んでいます。しかし、法人向けの高価な4ドライブタイプではなく、安価な2ドライブが主流でありいざという時にはRAID構成を復元できないケースに陥りがちです。更にNASのデータ復旧は専門知識に加えて設備投資もあることから高額な価格設定となっており、通常通りNASからデータが取り出せないと諦めて買い換えざるを得ないことも珍しくありません。そこで今回は、壊れたNASからデータを取り出せるmdadmについてご紹介します。

mdadmはソフトウェア上でRAID構成を構築するためのプログラム

複数のストレージを束ねるRAID構成をハードウェア制御で構成しているのがNASですが、サーバーOS等ではソフトウェアでRAIDを構築することがあります。mdadmはLinux OSで動作するRAID構築用のプログラムであり、NASから外したストレージをmdadmで読み込むことでデータを取り出すことが可能です。なお、WindowsもOSの標準機能でふたつのストレージへ同時に書き込み故障に備えるミラーリングをソフトウェアの力で実現可能です。

NASから外したストレージをmdadmがインストールされたLinuxパソコンで読み込めばデータを取り出せる

通常、NASで使用していたストレージからデータが保存されているパーティションを直接Windowsで読み込むことが出来ません。多くのNAS製品がLinuxで動作しており、パーティションもLinux向けのフォーマットが使われている関係でLinuxが動くパソコンはデータ取り出しに不可欠です。しかし、ubuntuなど主要なLinux OSはUSBメモリやDVD-Rから直接起動出来るためWindowsパソコンしかなくても誰でも簡単にLinux OSを準備可能です。あとはmdadmをインストールし、NASから取り外したストレージを接続して読み込むだけです。

RAID0やRAID5など複数台のストレージにまたがるデータもmdadmを使いこなせばデータを取り出せるかもしれない

ふたつのストレージをつなげ高速化と大容量化するRAID0や、4本中1台のストレージが失われても問題なくデータを残せるRAID5などNASの使い方は様々です。シンプルなRAID1と違い、これらの復旧は特殊ではあるもののmdadmでRAID構成を作りNASに接続されていたストレージをパソコンにつなぎ替えればデータを読み出せる可能性があります。もちろん、RAIDに関する基礎知識やLinuxの操作には一定の情報収集や勉強が必要にはなりますがNASの復旧費用が数十万円ということを考えれば当然とも言えます。

まとめ

停電や落雷など、ある日突然NASが故障しストレージやNASの基板が故障した際に誰もが高額なデータ復旧を業者へ依頼できる訳ではありません。そのような時にパソコンとNASストレージをパソコンに直接接続する変換アダプタがあれば、ユーザーの努力次第でデータを取り出すことが可能です。もちろん多くのユーザーがmdadmを含めLinuxに普段触れる機会が少なく、時間は掛かりますがそれだけの価値がある作業に違いはありません。もしNASが使えなくなってデータを取り出したい際はmdadmでデータ復旧にチャレンジしてみることをおすすめします。

大学生こそ中古PCを積極的に狙うべき

大学生のみなさん、最近のPCとても高いですよね。PCは2000年代終盤から2010年代にかけてかなり安くなったのですが、そこから再び値上がりが続いています。

しかしバイトの時給や仕送りの額が特段増えているわけではないので、どうしてもPCを買うお金が捻出しにくいと思います。

そこで中古PCに目を向けてみてください。最近の中古PCは「安かろう悪かろう」ではないのです。

ほとんどのPCがオーバースペックという現状

まず、なぜ中古PCに目を向けるべきかという点について解説しますね。

ここで言う中古PCとは、「3~5年前のPC」でありCPUの世代でいえば「2~4世代前」です。

この記事を執筆している2022年6月時点で言えば、2017年~2019年のPCであり、Intelの第8~第10世代のCPUが載っているPCです。

このあたりのPCはまだまだ程度もよく、しっかりメンテナンスしていればあと数年は稼働できるものばかりです。

また、何よりも「ゲーム用途以外はオーバースペック」であるPCが大半です。2017年ころからメニーコア時代に突入し、CPUのコア数が増え始めました。

Ryzenばかりが注目された時期でしたが、その影でIntel製のCPUもしっかり進化しており、特に第7世代→第8世代の進化は素晴らしかったです。

第8世代のCPU(つまり8000番台)は名機が多く、Core i3 8100やCore i5 8400など、今でも入手しやすいCPUが揃っています。

こうしたCPUが載っているPCであれば、GPUもRTX3060程度まではしっかり動かせますし、ゲーミングPCとしても大学用の事務処理PCとしても活躍できるのです。

中古PCの価格をざっと調べると…

例えば大学用のノートPCとしてなら「Core i5 8250U」を搭載したノートPCがおすすめです。

第8世代のノートPC向けCPUは4コア8スレッドのモデルと2コア4スレッドのモデルがありますが、Core i5 8250Uは前者です。

事務作業が中心だとしても4コア8スレッドの恩恵は大きく、ほとんどの作業でモタつきを感じることは無いでしょう。

また、Core i5 8250U搭載の中古PCは大体5万円台前半から購入できます。メモリは8GBなので必要に応じて増設する必要がありますが、ゲームをしないなら何ら問題ありませんね。

さらにデスクトップPCの場合は、Core i5 8400やCore i5 9400Fを搭載したPCがおすすめです。

デスクトップPCはノートPCよりもさらに割安で、8400搭載モデルならば3万円台から、9400F搭載モデルでも5万円程度で見つかると思います。

ただしGPUが載っていないことが多いので、別途2~3万円の投資は必要になります。それでも大体5~8万円の間におさまるわけです。ゲーミングPCとしては格安ですよね。

第8世代以降の中古ならば「2台持ち」も余裕

このようにIntelの第8世代以降のCPUを載せた中古PCはかなりコスパがよく、ノートとデスクトップを両方揃えたとしても15万円以内に収まるでしょう。

15万円といえば、最新のゲーミングPCならばミドルレンジクラス1台分です。価値観は人それぞれですが、「ノートとデスクトップを1台ずつ欲しい」と考えているならば中古狙いは大いにありですよ。