サーバーOSはLinuxのシェアが圧倒的であり、中でもUbuntuやCentOSといったディストリビューションが大多数を占めています。
個人、法人問わず様々な分野で安定した実績のあるCentOSは日本国内シェアも高く、日本語であらゆる情報を得られることもあって初めてLinuxサーバーに挑戦するユーザーにとってもCentOSは心強い存在です。
しかしCentOSのリリースとサポートに大きな変更があり、運用中のユーザーに大混乱が巻き起こっています。そこで今回はCentOSのサポート終了とその影響についてご紹介します。
商用ディストリビューションであるRed Hat Enterprise Linuxの無償版がCentOS
有償で販売されている商用ディストリビューションのRed Hat Enterprise Linux(RHEL)を元に開発されたディストリビューションがCentOSであり、RHELに含まれていた有償ソフトウェアを含まないようにすることで誰でも無償で入手・利用可能です。
CentOSはアップデートのサポート期間が非常に長く、頻繁なメジャーバージョンアップを想定していないサーバープログラムなどに向いています。
突如サポート期間が変更され大混乱
ひとつのメジャーバージョンに対し、約10年前後のサポート期間を設けていたためサーバーの長期運用を可能にしてきたCentOSですが突如2020年12月にサポート期間の変更が通達されています。
その内容は現行のCentOS8の開発を一年後である2021年末日に終了し、以後アップデートも停止するというもので2029年頃まで運用できることを想定してたユーザーにとって受け入れがたい内容でした。
CentOSを開発終了し、「CentOS Stream」へ専念するというのが運営側の理由ですが、一年間しか猶予がなく業務用途などで導入している場合は早急に移行先を決めなければならない状況です。
真の理由はRHELの業績不振?
今回の突然の変更は、RHELのリリースを支援するためのディストリビューション「CentOS Stream」へ専念するという理由ではありますが、商業的に行き詰まったRHELへの流入をもくろんだ結果という見方もされています。
実際に商業ディストリビューションのRHELはシェアが数%から伸びず、強引な運用変更でCentOSと互換性のあるRHELへ顧客流入を目論んだとしても不思議ではありません。
CentOS8からCentOS7へバージョンを戻し移行先を改め検討が最善か
サポート期間の変更はCentOS8だけであり、旧バージョンに当たるCentOS7はこれまで通り2024年6月まで開発とサポートが続きます。
LinuxOSの核であるカーネルも大きくバージョンを下げることになりますが、動作要件を満たすことが出来るのなら従来通りの使い方が可能なCentOS7への避難が現実的と言えます。
まとめ
突然サーバー界を賑わせたCentOS8のサポート終了は多くのユーザーを巻き込みかねない事案に発展しつつあります。
一時的にCentOS7へ戻し延命しても現時点で後継のディストリビューションは存在せず、互換性のある有償のRHELか互換性のない他のディストリビューションを選択しなければなりません。
CentOSは歴史あるディストリビューションだけに開発終了は残念ですが、今後CentOSのような存在になるディストリビューションが登場する可能性もあり今後の動向は要注目です。