オーバークロッカーには、稀に「殻割り」でCPUの性能を向上させる人がいます。最近は殻割り用のツールもでているので、昔に比べると敷居は低いかもしれません。
しかし、殻割りにはリスクが伴うため、実はあまりおすすめできない方法です。今回はCPUの殻割りによるメリットとデメリットを紹介します。
CPUの殻割りとは?
CPUの殻割りとは、CPUの外殻である「IHS: Integrated Heat Spreader」を取り外すことを指します。
IHSはCPUチップを保護し、熱を拡散する役割を果たしていますが、その一方で熱伝導を妨げているとも考えています。
そのため、IHSを取り外してチップと冷却ソリューション(CPUクーラーなど)を直接的に接触させたり、接着剤を熱伝導性の高いものに変えたりしてオーバークロック耐性を強化するという方法が採られてきました。
殻割りのメリットとリスク
では、殻割りのメリットとリスクを具体的に整理してみましょう。
メリット
熱効率の向上
前述のようにIHSを取り外す、接着剤の交換などの処理を行うことで、熱伝導率が上がって冷却効率が良くなり、結果的に高いパフォーマンスを実現できます。
オーバークロック耐性の向上
殻割りが直接CPUの性能を高めるわけではありませんが、冷却効率が良くなることでオーバークロック耐性があがり、結果的にオーバークロックで到達できる上限値が拡がる、という理屈になります。
また、CPUをより高いクロックで稼働させても落ちにくくなるなど安定性の向上も期待できるでしょう。特にローエンドCPUで殻割りによるオーバークロックが成功すると、コスパが爆発的に上がるので、何年かに一度話題になりますね。
リスク、デメリット
反対にリスクもあります。と言うよりもリスクのほうが大きいです。
保証の喪失
最もおおきなリスクがこれですね。デメリットと言ったほうが正しいですが、CPUのメーカー保証はIHSを取り外した瞬間に無効になります。
Intel、AMDともにボックス版を新品購入した場合、保証期間は3年です。普通に使っていれば3年で自然に故障することはほとんどありませんが、殻割りの場合は1~2年で不調になり可能性も十分にあり得ます。
損傷のリスク
殻割りは、正しい手法で行わないと、CPUチップや基板を損傷するリスクがあります。特に頻繁にCPUクーラーの脱着を行うと、作業ミスやゴミの混入などでCPUが不調になることもあるので注意しましょう。
また、過度なオーバークロックを続けてしまうことも故障リスクを高めます。
殻割りの手法とツール
CPUの殻割りを行う際には、以下のような手順をとることが一般的です。
1.ツールの選定
専用のデリッドツール(殻割り用ツール)やキットを使用することが推奨されます。これにより、CPUを損傷するリスクを最小限に抑えることができます。
2.温める
CPUとIHSを圧着している接着剤をはがれやすくするために、ある程度熱します。
3.殻割り(デリッド)
デリッドツールを使用して慎重にIHSを取り外します。最近のものでは「hermal Grizzly Ryzen 7000 Delid-Die-Mate」などがありますね。Ryzen7000用ですが、サーマルグリズリー製なのである程度は信用できそうです。
4.クリーンアップ
IHSとチップ上の余分な接着剤をきれいに拭き取ります。正直なところ、ここが一番気をつかうポイントではないかと思います。殻割りに成功して一息ついたタイミングでガリッとやらないよう、注意しましょう。
5.再接着
熱伝導性の高い接着剤を使用してIHSを再接着します。
リスクに見合うかどうかを見極めよう
CPUの殻割りは、パフォーマンスを向上させるための一つの手法ですが、正しい手法とツールを使用しないとリスクが伴います。
最近のCPUは殻割りなどするまでもなく、十分すぎるほどの基礎性能がありますし、電力設定や自動OC機能などで自然な緩急がつく仕様です。
したがって、無理にピーク性能を引き上げる必要はほとんどありません。もしどうしても殻割りをやりたい!というのであえれば、まず不要になったCPUなどで練習してみることをおすすめします。
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