マザーボードのスペック表に「16フェーズ電源搭載」「20フェーズの強力VRM」といった表記がありますよね。
VRMフェーズ数は「多い」ほど良いとされています。実際に電力供給が安定し、オーバークロック耐性やCPUの動作安定性が高まることは事実。
しかし必ずしも“実フェーズ数”が記載されているわけではありません。なぜなら「ダブラー回路」でフェーズ数が上乗せされていることがあるからです。
今回はダブラー回路の仕組みと、それが採用されているマザーボードの特徴、購入時の注意点について詳しく解説します。
ダブラー回路とは?
ダブラー回路とは、VRMにおいて、1つのPWMコントローラーから出力される信号を“倍増”させ、見かけ上のフェーズ数を増やすための回路です。
「Doubler(ダブラー)」の名の通り、1つの信号を2つに分けて処理することで、物理的なフェーズ数よりも多く見せることができます。
具体的には、PWMコントローラーが8フェーズ出力しか対応していない場合、ダブラー回路を追加することで16フェーズ構成として動作させることができます。
こマザーボードのスペック表に「16フェーズ」と記載されていても、実際には8フェーズ×2の構造である可能性があるわけです。
なぜダブラー回路が使われるのか?
ダブラー回路は、コスト削減と設計の簡略化を目的として広く利用されています。
高性能なPWMコントローラーは多フェーズ出力に対応しているものの、価格が高く、基板設計も複雑です。
そのため、比較的安価な8フェーズ対応コントローラーとダブラー回路を組み合わせて、見かけ上のフェーズ数を増やす手法が一般的になっています。
特に、エントリー~ミドルクラス帯のマザーボードでよく採用されており、「〇〇フェーズ搭載!」とアピールされている製品の多くがダブラー回路搭載ですね。
ダブラー回路の技術的なデメリット
ダブラー回路を用いると、見かけ上はフェーズ数が倍になります。一方で、いくつかの技術的なデメリットも存在します。
応答速度の低下
ダブラーはコントローラー信号を2分割して交互に動かす仕組みのため、リアルタイムな電力変動に対する応答性が純粋な多フェーズ設計より遅くなります。
オーバークロック時や突発的な負荷変動時に、電圧の揺らぎが大きくなる可能性があるわけです。
発熱と効率
ダブラー回路を挟むことで変換効率がわずかに低下し、VRM部の発熱が増える傾向にあります。
冷却設計が甘いマザーボードの場合、VRM温度上昇によるCPU性能低下の要因となることもあります。
ダブラー回路採用マザーボードは避けるべき?
ここで気になるのが、「ダブラー回路を使っているマザーボードは買うべきではないのか?」という点です。
結論から言えば、用途次第ですね。
一般的なゲーム用途や通常利用であれば、ダブラー回路を採用していても全く問題ありません。
最近のVRM設計は進化しており、ダブラー構成でも十分な安定性と電力供給能力を備えています。
実際、多くのミドルクラスマザーボードはダブラー回路構成で、定格運用ならハイエンドCPUでも安定動作します。
一方で、ハイエンドCPUを使ったぎりぎりのオーバークロックや、長時間の高負荷作業(動画編集・エンコード・マイニングなど)を行う場合は、純粋な多フェーズ設計のマザーボードがおすすめですね。
応答速度や発熱耐性の差が、高負荷環境での安定性や寿命に影響を与える可能性があるためです。
ダブラー構成を見抜く方法
スペック表だけでは、ダブラー構成か純粋な多フェーズ構成かは判別しにくいことが多いです。
そこで、以下のポイントを確認すると見抜きやすくなります。
PWMコントローラーの型番
コントローラーが何フェーズ出力対応かを調べ、表記フェーズ数と比較する。
公式サイトやレビュー記事
一部のメーカーは、設計図やブロックダイアグラムでダブラーの有無を公開しています。
価格帯
1万円台後半~2万円前半のミドルクラス帯で「16フェーズ」「20フェーズ」と書かれている場合、ほぼダブラー構成と考えて差し支えありません。
ダブラーは悪ではない しかしこだわるなら純粋な多フェーズが吉
マザーボードのVRMフェーズ数は、必ずしも実フェーズ数ではないことがあります。その裏にあるのが、ダブラー回路という技術です。
ダブラー回路は、コストと設計の簡略化を目的とし、エントリー~ミドルクラス帯のマザーボードで広く採用されています。
応答速度や発熱面では純粋な多フェーズ設計に劣りますが、通常利用やゲーム用途では十分な性能です。
マザーボード選びにこだわるのであれば、スペック表のフェーズ数だけに惑わされず、その設計方式までチェックしてみてください。
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