Ryzen7 5800X3Dの圧倒的なコスパの高さから注目を浴びることになった技術「3D V-Cache」。
3D V-Cacheを搭載したCPUは、ゲーミング用途において極めて高いパフォーマンスを発揮するため、PCゲーマーならば無視できない存在です。
AMDはRyzen7 5800X3Dでの成功を、次世代のCPUにも引き継ごうとしており、新たな3D V-Cache搭載モデルが登場しています。
今回は、その中から特に狙い目のCPUがどれなのかを考えてみました。
3D V-Cacheについておさらいしよう
まず、3D V-Cacheについて簡単に復習しておきましょう。
3D V-Cacheとは、AMDが開発したCPUの高速化技術の一つで、高密度なキャッシュメモリを効率よく実装することができるようにするための技術です。
従来のCPUでは、プロセッサコアのキャッシュメモリは2D(つまり平面上)で配置されていました。しかし、キャッシュメモリの増大に伴い、その大きさが足かせになり、結果的にキャッシュ容量が制限されることになっていたのです。
これに対して3D V-Cacheは、キャッシュメモリを従来の2D配置ではなく、積層する3D(立体構造)状の集積回路として配置しました。
これにより、より小さな面積に大量のキャッシュメモリを配置できるほか、コアとキャッシュメモリとの距離を短くしてデータの取得速度が高速化されたのです。
キャッシュメモリ容量制限の問題を克服し、コアとのデータ通信速度も向上したことで、ゲーム用途で素晴らしいパフォーマンスを発揮するようになったと言われています。
新世代の3D V-Cache搭載CPU
AMDの3D V-Cache搭載CPUは「ゲーミング特化型CPU」とも呼ばれており、今後もCPU界隈の台風の目になりそうです。
そんな3D V-Cache搭載CPUの最新モデルを見ていきましょう。2023年4月時点では、以下のようなCPUがラインナップされています。
Ryzen 9 7950X3D
16コア32スレッド
ブースト最大クロック 5.7GHz
L3キャッシュメモリ容量 144MB
TDP 120W
2023年2月28日発売,約11万円
Ryzen 9 7900X3D
12コア24スレッド
ブースト最大クロック 5.6GHz
L3キャッシュメモリ容量 140MB
TDP 120W
2023年2月28日発売,約9万円
Ryzen 7 7800X3D
8コア16スレッド
ブースト最大クロック 5GHz
L3キャッシュメモリ容量 104MB
TDP 120W
2023年4月6日発売,約6万8000円
いずれも5万円を大きく超える高価格CPUですね。前世代の5800X3Dがあまりにも優秀で評判が良かったためなのか、全体的に強気の価格設定です。
コスパは意外にもRyzen 9 7950X3Dが良好?
お手軽さで見ると、Ryzen 7 7800X3Dが優秀ですよね。8コア16スレッドで5GHz動作、7万円を切る価格ということで、ハイエンド層の中では手が届きやすく扱いやすいCPUです。
ただし、最新世代の3D V-Cache搭載CPUは、価格と正比例するようにスペックも挙がっています。具体的にはL3キャッシュメモリ容量と物理コア/スレッド数が増えるため、実は最上位の7950X3Dがコスパ最強かもしれません。
価格だけを見ると11万円とかなり高額なのですが、7800X3Dの倍のコア/スレッドを持ち、さらにLキャッシュメモリは4割増し。それにもかかわらず価格は6割増し程度なので、実際には割安感があります。
PBOが有効で焦げる?使用するマザーボードに注意
個人的にはまずお手頃価格なRyzen 7 7800X3Dを購入候補にしたいところですが、Ryzen 7 7800X3Dに対応していないBIOSで問題が発生しているようです。
Ryzen 7 7800X3D非対応のBIOSでPBO(Precision Boost Overdrive)が有効になっていると、電圧や温度が正常に管理されず、マザーボードが焦げてしまうリスクがあるのだとか。
一部のマザーボードでのみ確認されていますが、特定のソケット(LGA1718)全体の問題なのかは未知数です。Ryzen 7 7800X3Dを購入する場合は、必ずBIOSが対応しているマザーボードとセットで運用するようにしましょう。
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